名古屋市交通局では、地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅コンコースへのエキナカ導入(2019年度開業)を計画していますが、同じ東山線上の駅である「千種」駅においても、大規模リニューアル計画が発表されました。地下鉄千種駅構内は、開業以来一部通路を除いてほとんど手が加えられておらず、今回のリニューアルは開業以来初めての大規模なものとなりそうです。(地下2階のホーム階はリニューアル対象外)
まずは既存施設を移転
移転先となる「千種地下街」跡地 (西→東改札を望む)
地下鉄東山線の開業以来、半世紀にわたって営業を続けてきた「千種地下街」(2013年度末にすべてのテナントが閉店)の跡地に、駅長室やトイレなどを移転させます。現在も西改札口と東改札口を結ぶ通路として使用されていますが、同駅乗り換えのメインルートとなっている東改札口~JRの地下改札間と比べ通行量は少なく、スペースを持て余しています。新たなエキナカなどのスペースとして活用できないかと思っていた矢先、今回の計画が明らかになり非常に嬉しい限りです。
リニューアル前(地下1階 平面図) ※市公式サイト(調達情報サービス)より
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リニューアル後(地下1階 平面図) ※市公式サイト(調達情報サービス)より
リニューアル前では、駅長室や倉庫など移転対象となる部分が緑色で示され、リニューアル後では、移転後の施設や新設される予定の店舗部分が緑色で示されています。(店舗は2店舗)
華やかなコンコースへ一新!
リニューアルイメージ図 ※名古屋市交通局発表
コンセプトは、金城学院大学(生活環境学部 環境デザイン学科)の学生が提案した「緑のミチクサ(道草+千種)」を基に、丸型ベンチや学生がデザインしたオリジナル壁材の設置、カフェやコンビニの出店、授乳室設置および全トイレの洋式化などが行われる予定です。壁材は、接着剤や壁材、カウンター、トイレブースなどの製造を手がけるアイカ工業株式会社(清須市)が、傷の付きにくい耐久性やメンテナンス性に優れた「グリーンウォール」として製作を請け負い、名古屋市交通局に寄付するとしています。交通局では、市営地下鉄や市バスの利用促進を図るため、”学生力を活かした市バス・地下鉄魅力創造プロジェクト”を立ち上げ、2014年度より複数の大学と活動を行ってきました。今回のリニューアル計画では、駅を通過点から”目的地”へと変えるための同大学生の提案に、2012年より女性目線の商品開発に取り組むアイカ工業(株)も加わり、晴れて実現する運びとなりました。2017年3月29日には、同計画のキックオフイベントとして名古屋市役所本庁舎にて「初めの一歩式」が開かれ、河村市長や交通局長をはじめ同大学の関係者や協賛企業であるアイカ工業(株)、スターバックスコーヒー・ジャパン(株)、(株)セブンイレブン・ジャパンの関係者などが出席しています。
リニューアル前の様子
移転前の駅長室(スターバックスコーヒー出店スペース 147㎡)
右に見える駅長室のスペース全体と、駅長室と階段との間のスペースまでが「スターバックスコーヒー」の店舗スペースとなります。名古屋市交通局の地下鉄駅構内に出店しているカフェで、スタバの出店は初めてとなります。同駅前には予備校も多数立地しており学生の利用も多く、10~30代の集客力の高いスタバの出店は、地下街閉鎖後閑散としていたコンコースに新たな風を吹き込みそうです。
移転前の男女トイレ(セブンイレブン出店スペース 84㎡)
東改札口前にあります。リニューアルされてからさほど年数が経っていないと思いますが、西改札口前に移転拡張されます。
移転前の多機能トイレと簡易売店跡(セブンイレブン出店スペース)
JRの地下改札口との連絡通路。ラッシュ時はJR⇔地下鉄の乗り換え客で混雑します。こちらの多機能トイレもまだ新しめですが、その奥に見える簡易売店跡とともにセブンイレブンの店舗スペースにリニューアルされます。
東改札内
上下ホームへ下りる階段と階段の間のスペース(駅長室含む)にスタバが出店します。改札内と改札外、どちらに入口が設けられるのでしょうか。図面にはそれらしき入口が両方描かれていますが…。
【外部リンク】学生力を活かした市バス・地下鉄魅力創造プロジェクト(名古屋市交通局公式サイト)
【参考】名古屋市交通局が金城学院大学学生の提案をもとに 名古屋市営地下鉄千種駅に、"緑のミチクサ散歩道"を設置(2017年3月29日 アイカ公式サイト)
【外部リンク】来年夏 地下鉄千種駅リニューアルへ(2017年3月29日 テレビ愛知 ネットニュース)
【参考】【千種駅リニューアル】金城学院大生のコンセプトを採用 名古屋市交通局が記念式典(2017年3月31日 建通新聞公式ブログ)
※すべて2017年4月2日撮影。