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名古屋市営地下鉄の各駅に導入されている案内サインは、世界デザイン博開催前の1988(昭和63)年に制定されたマニュアルを基に導入が進められたもので、その後も少しずつ改訂を経ながら今日まで使用され続けてきました。しかし、昨今の訪日観光客の大幅な増加や、東京五輪の開催リニア中央新幹線の開業等を控え、海外から訪れる人々にもより分かりやすいサインとするため、2016年度末に交通局内で約29年ぶりとなる大幅な改訂が行われました。まずは導入第一号駅として新デザインの案内サインが地下鉄栄駅にて導入されたので、その様子を見てきました。

 

 

従来はすべて「黒地」デザイン

 旧デザイン(2018年1月21日撮影)

従来の案内サインは、出口案内も”ホーム案内も、改札を出た後の他社線乗り換え案内すべて黒地デザインとなっており、特に改札ルートが複雑な栄駅などの乗り換え駅では、混乱が生じやすい状態になっていました。

 

 

非内照式タイプは「白地」と「黄地」で使い分けへ

 東山線コンコースに設置された案内サイン(新デザイン)

新マニュアルの制定を機に、壁や柱、頭上などに設置される非内照式タイプは明確な色分けが行われました。設置場所が改札内外に関わらず、出口案内や、他社線乗り換え案内黄地に黒文字ホーム案内や、同じ地下鉄線内での”乗り換え案内白地に黒文字、そしてトイレやサービスセンターまでの案内も同様に白地に黒文字となりました。

 

 

 

 床貼り付け型(新デザイン)

こちらはサインの目的に関係なく、「白地に黒文字」ですべて統一されているようです。

 

 

 

 数字フォントの違い(中央新型・左上旧型)

先述の通り、黄地に黒文字出口案内。左上の吊り下げ型サインの旧フォントと比べると、その違いがわかるでしょうか。新フォントは縦がやや縮み、数字の区切り方も、従来の「中点」が「カンマ」に変更されています。

 

 

 

 「洗面所」案内サイン(新デザイン)

誤進入を防ぐため、入口に男女別のイメージカラーが大きく掲示されました。

 

 

 

 「洗面所」案内サイン(旧デザイン)(上前津駅)

従来はすべて黒地デザインで、ピクトグラムでのみ男女を判別していたため、遠くからでは分かりづらいデメリットがありました。

 

 

 

 東山線コンコース サカエチカ連絡階段付近(2018年1月21日撮影)

新しく設置されたデジタルサイネージのテスト運用が始まっていました。

 

 

東山線ホームへ

改札口表記も新マニュアルが適用されたものに更新されています。これまでにない徹底ぶりです。

 

 

 

 東山線 藤が丘方面ホーム(2018年2月3日撮影)

この栄駅東山線ホームは、ホーム外壁のリニューアル工事に伴い、名古屋の地下鉄全駅で最も早く新しい案内サインの導入が始まりました。その後、段階的に交換が進められ、この日は柱の案内サインが新しくなっていました。他社線の乗り換え案内なので”出口案内”同様、黄地に黒文字デザインに変更されています。

 

 

 

 東山線 高畑方面ホーム

こちらは一足早く外壁のリニューアルが完了しました。これまで名古屋の地下鉄駅では、ホーム上に出口案内がほとんどありませんでしたが、サインの増設により目的の出口に近い改札が一目でわかるようになりました。

 

 

 

柱に設置される駅名標も、従来の「さかえ sakae 」の縦型タイプから、壁直付け型に似せたデザインに一新されました。そして出現したものは…

 

 

 

案内サインの交換に伴い、さかえまちの駅名標が発掘されました。当駅は、1957(昭和32)年の開業から、1966(昭和41)年の「栄」駅への改称までの9年間、現在の名鉄同様「栄町」駅を名乗っており、約60年前の開業当時に設置されたものと思われます。よく見ると「まち」の部分は文字の色が抜かれていることから、改称後、1988(昭和63)年のデザイン博対応サインの制定までは使用されていたようです。同じものがホーム上に複数残っており、こういった歴史を伝えるものは積極的に保存してほしいです。

 

 

 

現在東山線を走る車両は、最も古いものでも1992(平成4)年製。この「さかえまち」駅名標とのコラボも初。

 

 

東山線⇔名城線 乗り換え階段

 東山線ホームの「名城線のりかえ案内」

以前はどのような案内があったか忘れてしまいましたが、東山線ホームには名城線ホームへの乗り換え階段が3つあり、島式の東山線と違って相対式の名城線ホーム行き先によって下りる階段が異なるため、その位置を示した、新しいデザインの案内板が設置されました。

 

 

 

 内照式の”ホーム案内”(旧デザイン)

従来のデザインは、○○線 ○○方面とだけ表記され、ナンバリングはおろかホーム番号すら明記されていませんでした。

 

 

 

 内照式の”ホーム案内”(新デザイン)

新マニュアルに基づき、ナンバリングやホーム番号、「右まわり」「左まわり」表記を取り入れた新しいデザインのものに交換されました。この内照式の”ホーム案内の配色については、従来通り黒地に白文字となっています。

 

 

 

 内照式の”ホーム案内”

従来は内照式に同じく黒地に白文字でしたが、地下鉄構内は元々薄暗い空間のため、見やすさを考慮して白地に黒文字に変更されました。

 

 

 

 過渡期の乗り換え階段(2018年1月21日撮影)

新旧タイプが混在しています。新たに新マニュアルに準じた黄地に黒文字出口案内が追加されていますが、このときホーム案内黒地に白文字旧タイプのままでした。

 

 

 

 過渡期の乗り換え階段(2018年1月21日撮影)

こちらは”出口案内”が混在し、さらに東改札口の示す方向が曖昧でした。

 

 

 

 交換後(2018年2月3日撮影)

ナンバリング・ホーム番号が追加された、白地に黒文字新しい”ホーム案内に交換されました。

 

 

 

 交換後(2018年2月3日撮影)

改札口表記のあるものは撤去され、ホーム(乗り換え)案内に特化した形となりました。

 

 

 

乗り換え階段の途中に設置された、名城線の停車駅案内。こちらもホーム番号が入った新しいデザインのものに交換されています。

 

 

 

 左回り・右回り 矢印(旧デザイン)

以前のデザインは、左か右か、かなり近づかないとわかりにくいデザインでした。

 

 

名城線ホーム

 過渡期の名城線ホーム(2018年1月21日撮影)

黄地の新しいデザインの出口案内が増設された一方で、柱の駅名標は旧デザインのままでした。

 

 

 

 案内サインの増えた名城線ホーム

柱の駅名標は、旧来の「駅名・ナンバリング」のみの縦長タイプから、ラインカラーの入ったやや横長タイプに交換されました。壁直付け型の駅名標にデザインを似せていますが、縦長のままのほうが見やすかったような気が…。

 

 

 

名城線にも「さかえまち」時代の駅名標が残っていました。ただし、東山線ホームよりも現存数は少なく、各ホームの端に2基、計4基しか残っていません。

 

 

 

こちらも初となる2000形と「さかえ(まち)」駅名標のコラボ。

 

 

 

名城線ホームから直接改札へ向かうルート

頭上の東山線の路線マークが、まだ二世代前の”破線”タイプです。(右下は最新タイプ)

 

 

 

 名城線 南西改札口付近

こちらも”出口案内”が一新されています。「黄色=出口=改札を出るルート」を示し、黒ベースにごちゃごちゃ詰め込まれているのと比べ、パッと見、非常にわかりやすくなりました。

 

 

 

 

 

 

その他

 エレベーター案内(新デザイン)

 

 

 

 避難経路案内(新デザイン・東山線ホーム)

 

 

 

 禁煙(左:旧デザイン 右:新デザイン)

 

 

 

 トイレ・サービスセンター(新デザイン)

 

 

 

 ホーム案内(新デザイン・「名古屋駅へ」表記あり)

 

 

 

 旧デザイン(出口案内とホーム案内が混在)

 

 

 

 新デザイン(出口案内を左隣に分離)

 

 

※注釈のないものは、2018年2月3日撮影。

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