東京都都市整備局とJR東日本は、2020年の東京オリンピック開幕、2027年のリニア中央新幹線品川駅開業を控え、ビジネス・国際交流拠点としてポテンシャルの高まるJR品川駅の北側地区にて、大規模再開発に乗り出しました。品川駅北側にあった広大な車両基地を再編し、余剰となった敷地を再開発用地に充てることで、品川駅前や泉岳寺駅前と連携した一大都市拠点を築く狙いです。
新たな”東京の顔”を品川に─
出典 品川駅北周辺地区まちづくりガイドラインの策定について(2017年3月31日 JR東日本プレスリリース)
上図の赤枠内が、元々車両基地の一部だった敷地。現在の山手線・京浜東北線の線路はこの赤枠よりも下側(国道15号側)に沿って敷かれていますが、これを上側(東海道新幹線側)に付け替えることで、再開発エリアが陸の孤島となるのを防ぎ、泉岳寺駅前など周辺地区と連携したまちづくりが可能となります。
出典 品川開発プロジェクトにおけるまちづくりの基本概要について(2015年8月31日 JR東日本プレスリリース)
約15ヘクタールにおよぶ車両基地跡地には、高さ160m前後の超高層ビル8棟が建設される予定です。うち5棟はオフィス・商業施設などの複合ビルで、就業人口10万人。残りの3棟はマンションが建設されます。同跡地は国家戦略特区にも指定されており、新たな”東京の顔”として総事業費5000億円をかけて再開発が行われます。(これらの情報は2014年現在のものであり、再開発の内容は経済情勢に合わせて今後変更される可能性もあります)
出典 品川開発プロジェクトにおける品川新駅(仮称)の概要について(2016年9月6日 JR東日本プレスリリース)
駅舎のデザインは、新国立競技場やJR東日本や東急電鉄、東京メトロが進める「渋谷駅地区駅街区開発計画」のデザインも手掛ける隈研吾建築都市設計事務所が担当します。
出典品川開発プロジェクトにおける品川新駅(仮称)の概要について(2016年9月6日 JR東日本プレスリリース)
2015年の上野東京ラインの開業により、品川車両基地の機能の一部を、宇都宮線の尾久車両センター(東京都北区)に移管。さらに品川車両基地に隣接して完成した新車両基地に残りの機能を移管。これにより、車両基地の大幅な縮小が可能となりました。
2面4線のホーム(田町・東京方面)
向かって左側が山手線、右側が京浜東北線のホームとなります。ホーム中央部は吹き抜け空間となり、最大高30メートルの大屋根で覆われます。
2階改札内コンコース・3階テラス(北半分)
改札口は向かって左側、駅舎西側に2ヶ所設けられます。この模型は南半分にあたる部分がカットされているため1ヶ所しか確認できませんが、吹き抜けを挟んだ南側にも1ヶ所設けられます。また、模型でも確認できる北半分のエレベーターは24人乗りと、大勢の利用客を見込んだ設備が導入されるようです。3階の南北2ヶ所には、ホームや街を見渡せるテラスを整備します。
さて、この模型は一体何なのかというと、東京駅丸の内駅舎内にある「東京ステーションギャラリー」にて2018年3月3日~5月6日まで開催された、隈研吾氏が設計を手掛けた世界各国のプロジェクトを一挙に集めた展覧会「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」にて展示されたものです。この展覧会は、公式で「全作品の撮影・SNS等でのシェアOK」となっており、通常、有料展覧会ではこういった行為はNGとなるところ、かなり寛大な配慮だと思いました。
駅舎の外観模型(完全型)
一方こちらは模型内部までは確認できませんが、先ほどのカット模型より一回り小さい、駅舎の完全再現版です。ホームの可動柵まで忠実に再現されていますが、ホームのほぼ全体を覆う駅舎は、かなりの横幅があります。
ホーム先端部。
線路切り替え工事の詳細は─
出典 品川駅線路切換工事に伴う列車の運休について(2018年2月27日 JR東日本プレスリリース)
2018年6月16日(土)終電後~6月17日(日)に実施予定の切り替え工事
新駅に直結する新しい線路への切り替え第一弾として、京浜東北線南行きが切り替わります。最終的には、京浜東北南行き、山手線内・外回りも切り替え工事が行われます。
現地の様子
新駅 橋上駅舎 (以下、京浜東北線車内より)
南北に長い、最大11両分のホームをほぼ覆う形で建設が進む橋上駅舎。予想以上に大きく見えます。
やや品川寄りから。背後に見えるのは芝浦の高層ビル群。
田町寄りから。背後に見えるのは品川駅港南口の超高層ビル群。品川駅からかなり近い場所であることがわかります。
真新しい単線の高架橋
品川を出発して、新駅を過ぎたあたりで突如現れる、単線分の高架。田町から見ると、新駅の手前ですぐ地上に下りてしまいます。地上に設けられる新駅のホームとは関係ない、数百メートルの短区間のみの高架が新設されました。
新設高架橋部分 略図
並走する山手線と京浜東北線は、田町駅から北は、方向別に線路が敷かれていますが、品川駅では路線別に敷かれており、その間に設置される新駅も品川駅同様、路線別のホーム配置となります。このため、新駅~田町駅間では左図のとおり、京浜東北線北行き線路のみ、山手線内回り・外回り線を高架で超える必要があったため、線路切り替え工事に伴い高架橋が新設されました。
(切り替え前の現在の線路も同様の構造となっており、切り替え後もまたこの構造を受け継ぐという形になります。)
切り替え箇所(付近)①
「付近」と記したのは、今回切り替えられるのは正面奥の新しい高架ではなく、左端に見える京浜東北線(新)南行きだからです。肝心なところがうまく写せませんでした。
京浜東北線(新)北行きの高架は、まだこれから取り付け部の整備(土盛り)が必要な状態。
品川方から新駅を望む
切り替え予定の、山手・京浜東北それぞれの新しい線路の敷設が進んでいます。今回切り替え予定の京浜東北線(新)南行きは、ほぼ準備万端の様子です。
新駅をズームアップ。
新駅ホーム (東海道線上り車内より)
2つの島式ホームの形ができてきています。手前に見える線路が京浜東北線(新)南行き。東海道線にはホームは設置されず、全列車通過となります。
東海道線下り車内より新駅を望む
東海道線下りのみ、新駅から車両センターを挟んだ反対側にあるため、奥に見える東海道線上りの車両とはかなり離れたところを走ります。
品川駅 京浜東北線南行き ホーム切り替え工事
記事冒頭の「切り替え工事概要」の通り、京浜東北線南行きの線路切り替えにより、新駅の南側に位置する品川駅のホームものりばが変更となります。
現4番線から対岸の新5番線を望む
現在の4番線が、京浜東北線南行きのホーム。これが対岸に整備中の新しいホームへ移ることになります。
足元を見ると、軌道のバラスト・PC枕木などが真新しいのが分かります。
ホームの点字ブロックは、ホーム柵の設置に対応した配置になっており、ホーム柵の土台の工事も既に始まっている様子。
新5番線の南端。北端は撮り忘れました。
切り替え箇所②
京浜東北線南行き 横浜方(品川駅 現4番線)
奥が進行方向。左の切り替え用の線路には、いつでも切り替えが可能な状態になっていました。
4番線南端にあるトイレは、線路切り替えの前に廃止される模様。
新5番線の隣にある6番線(上野東京ライン)
この6番線も、2016年11月より使用が開始されました。上野東京ラインの開業による、常磐・高崎・宇都宮線各列車の品川駅までの運転延長に伴い、新たに東海道線に東京方面への折り返し機能の整備が行われたためです。このように品川駅では、これまでも線路切り替え工事が幾度となく行われています。
出典・参考・外部リンク
※写真はすべて2018年5月5日撮影。