栄地区の中心的な地下街として長年親しまれてきた「サカエチカ」のリニューアル工事が始まりました。同地下街を管理する「栄地下センター」は、会社設立50周年と2019年のサカエチカ開業50周年を機に社名を「サカエチカマチ」に変更し、“サカエチカの運営を通じて、栄地区の活性化に貢献していく”と思いを新たにしました。
MEMO
出典サカエチカの入口(サカエチカ公式サイト)
「栄」交差点の真下にある「クリスタル広場」を中心に、北・東西方向へ広がるサカエチカは、計75の店舗で構成されます。1969(昭和44)年の開業以来、クリスタル広場を除いてほぼ当時のままの姿を保っていましたが、大名古屋ビル・JPタワー・JRゲートタワーなどの開業といった昨今の名駅地区の躍進に押され気味であるのに加え、老朽化が進みバリアフリーにも対応していないことから、今回開業以来初の大規模リニューアルに踏み切りました。
リニューアル前のクリスタル広場(2017年6月11日)
広さは約1,300平方メートル。現在の姿は1999年にリニューアルされたものです。中央部には広場のシンボルとしてクリスタルオブジェが設置されていましたが、2016年10月に撤去されました(このとき噴水は健在)。周囲は腰掛けスペースとしても解放されています。広場の通行量は、1日平均6万人(運営会社発表)となっています。
新生「クリスタル広場」は憩い・交流をテーマに
出典 50周年リニューアル工事のご案内(サカエチカマチ株式会社 公式サイト)
リニューアル後のクリスタル広場 イメージパース
新しいクリスタル広場は、広場の中心部に4つのメインの柱を新たに設置し、全面に四季の移り変わりを感じられるよう、環境映像を流す大型LEDディスプレイや音響装置を設置します。腰掛けスペースも待ち合わせに最適なよりゆったりとしたものに一新するほか、新しいダーク調の天井パネルにはスポットライトを配置し、床面のライトアップを行うなど、イベントスペースとしての活用も想定した造りとなります。主に目線から足元にかけての視点を重視し、その先の店舗にも自然と目が届くような演出となっています。
現地掲載 リニューアル後のクリスタル広場 イメージパース
少し引いたアングルから見た広場です。ダーク調の天井パネルは広場中央部に限定してメリハリをつけることで、イベントスペースとしての領域を明確に示しています。メインの4本柱を取り巻く周囲の柱や、床一面もすべて一新されます。また、「サカエチカ」のロゴも2017年5月29日をもって新デザインに変更されました。新しいロゴは”SAKAE(栄)を拠点に多様な TIMES(今・時代)を CROSS(交差)させ、 活気あふれる交流や豊かな暮らしを創造していく”ことを表しています。
出典 50周年リニューアル工事のご案内(サカエチカマチ株式会社 公式サイト)
リニューアル後の出入口階段上屋
サカエチカの内装リニューアルに合わせ、地上部(栄交差点)にあるクリスタル広場への出入口を、新しいデザインに一新します。
オブジェスペースはまもなく見納めに…
クリスタルオブジェ撤去後
クリスタルオブジェのあった場所には、大阪大学レゴ部が作成した東山動物園のイケメンゴリラ「シャバーニ」や、アカコンゴウインコなどのレプリカが展示されています。2018年3月中旬までに噴水も撤去される予定です。
サカエチカの開業50周年と、東山動物園の開園80周年を記念したコラボ企画で、両者は「シャバーニ」をはじめとする”ニシローランドゴリラ”のエサ代などを寄付するスポンサー協定を結びました。
リニューアル工事 スケジュール
工事期間は2017年6月~2019年10月末までの約2年半と、長期にわたる工事となります。先に天井パネルのリニューアルから着手し、最後に壁面・床面の張り替えが行われます。
クリスタル広場から見た「東通路」
まず初めに東通路の天井パネルの工事から始まりました。
東通路
通路中央部の天井パネルが外され、仮のスプリンクラーが吊り下げられています。
現地掲載 リニューアル後の「東西通路」 イメージパース
「西通路」「東通路」を”1本のショッピングロード”とし、天井のリズミカルな照明による先進的なテナント空間に大きく生まれ変わります。”来街者が自然と街に出ていくことができる活発な通路を創る”としています。
現地掲載 リニューアル後の「東西通路」 イメージパース
案内サインも大きく一新され、「クリスタル広場」の名前もそのまま残ります。かつてのクリスタルオブジェをモチーフにしたと思われるシンボルマークが確認できます。
リニューアル前のデザイン(北通路にて)
黒と白を基調とした現在の内装は、柱や壁に天然の大理石が採用されているほか、天井には地上からの騒音を減らし、反響を少なくするシステム天井を地下街で初めて採用するなど、当時としては先進的な地下街でした。天井の縦二列に並んだ蛍光灯の配置や、床タイルの黒いラインは通行の流れに沿ってデザインされています。
出典 50周年リニューアル工事のご案内(サカエチカマチ株式会社 公式サイト)
リニューアル後の「北通路」 イメージパース
地下鉄改札連絡口に面した北通路からクリスタル広場までを”1つの広場”としてとらえ、改札口付近の混雑空間からくつろぎと安心感を得られる空間を意識したデザインとなっています。
クリスタル広場の壁面にて試験運用中のデジタルサイネージ
リニューアル工事の前段階として、2016年6月末より1年間の試験運用としてデジタルサイネージが設置されました。稼働時間は午前7時~午後11時までとなっていますが、工事が始まったので近日中に運用は終了されると思われます。結果はリニューアル後の広場の映像演出などに反映されることでしょう。
サカエチカに残る昭和の香り
案内板の時代を感じさせるフォント。天井から吊るされたシャンデリアも、50年間、地下街を行き交う人々を見続けてきました。このまま全撤去ももったいないので、1基だけでもどこか一角に保存して欲しいが…
バリアフリー関連工事
地下鉄東山線連絡階段 斜行エレベーター設置計画
北通路地下鉄連絡階段(再掲載)
工事スケジュールにある「バリアフリー関連工事」とは、北通路から地下鉄改札へ至る階段にエレベーターを設置する工事です。スペースの関係上、通常のエレベーター・エスカレーターが設置できないことから、「斜行エレベーター」を設置します。
現地掲載 リニューアル後の北通路地下鉄連絡口 イメージパース
通路中央部に「斜行エレベーター」を設置します。階段部分の壁や天井パネルも一新されます。
クリスタル広場前トイレ改修工事
バリアフリー化対応となったクリスタル広場のトイレ
広場の北東角に面したトイレが、先行して多目的機能を備えたバリアフリートイレに改装されました。家族連れの利用も見込み、これまでなかったキッズトイレなども併設されています。
北通路の開放時間の延長
日曜午後10時すぎの「クリスタル広場」
クリスタル広場から東山線改札連絡口までを結ぶ「北通路」の利便性を高めるため、2016年2月より、通路や一部階段の開放時間が、それまでの午後10時から午後11時まで延長されました。その後、金曜・土曜の大津通りや広小路通りの通行量調査などを踏まえ、同年6月にはさらに1時間延長し、現在は午前0時まで開放されています。
サカエチカの地下店舗は午後8時で早々にシャッターを下ろし、午後10時をすぎるとこのように北通路を除いて完全消灯してしまいます。これが名古屋の夜が早いと言われる所以の1つだと思いますが、名古屋のど真ん中の地下街としてはあまりに寂しいです。
今後も工事の様子を随時お伝えしていきたいと思います。
出典・参考・外部リンク
- サカエチカ階段通路の一部を1時間延長 ―南北通路午後11時まで開放―(2016年1月7日 栄地下センタープレスリリース)
- 『北通路[クリスタル広場から東山線連絡階段]を、午前0時まで開放』(2016年6月28日 栄地下センタープレスリリース)
- クリスタル広場でデジタルサイネージ試験運用開始(2016年6月28日 栄地下センタープレスリリース)
- サカエチカ大規模リニューアルに向けてクリスタル広場にて起工式を実施(2017年6月2日 サカエチカマチ ニュース&トピックス)
- 栄地下センター株式会社は、会社設立50周年を迎え、『サカエチカマチ株式会社』に社名を変更しました。(2017年5月29日 サカエチカマチ ニュース&トピックス)
- 生まれかわる「サカエチカ」開業50周年に向けて”大規模リニューアル”(2017年6月 サカエチカマチ ニュース&トピックス)
※すべて2017年6月11日撮影。