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勢いでは名駅に負けない!伏見エリアの最近の動きをまとめてみた(前編) 錦通り~北側 御園小移転計画・錦二丁目7番街区再開発etc

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名古屋の伏見といえば、御園座に代表される文化拠点、または旧来のオフィス街、もしくは「ヒルトン名古屋」「名古屋観光ホテル」などの代表的なシティホテルなど、そのイメージは割と幅広いものです。しかし、超高層ビルの集積が目覚ましい名駅地区や、若い人たちに人気のカフェやセレクトショップの集まる栄地区に比べ、近年まではあまり目立った印象はありませんでした。東西軸の名駅・栄や、南北軸の名城・大須を結ぶ”結節点”でありながらも、明確なまちづくりビジョンの無かった伏見地区では、2027年のリニア開業を控え、他の地区と同様、都心の核となる個性を持ったエリアとなるよう、2017年からリニア開業までの中期的なスパン、そしてさらにその先を見据えた「伏見地区まちづくりビジョン」が策定されました。伏見界隈の最近の細かな動きも含め、その現状と将来の展望をまとめました。

 御園小学校の移転による跡地活用

 御園小学校正門

名古屋市では、都心部に点在する小規模校対策による校舎移転を計画しており、伏見地区内にある「御園小学校」も、丸の内中学校への移転が検討されています。移転によって生まれる御園小学校の跡地利用について、にぎわいを生む商業施設等の導入可能性も加味しつつ、防災や地域コミュニティーの形成に資する施設を中心に土地の高度利用を図る。としています。跡地利用をめぐっては、地域の要望も踏まえつつ、売却も含めた検討が行われる予定です。(まちづくりビジョンでは、2032年までの長期計画に位置付け)

御園小学校は避難場所にも指定されています。ここから一番近い公園は「白川公園」ですが、御園小近隣の居住人口が増加する中、有事に備え、この場所にも避難場所としての機能を継承させることになるかもしれません。御園小と同様の計画では、名駅の「那古野小」跡地の活用方法が挙げられますが、こちらは当面既存校舎を改修した地域コミュニティスペースとして活用することが決定しており、長期的に導入が必要な都市機能を検討しつつ、リニア開業以降、恒久施設として第二期開発に乗り出す構想です。

 御園小敷地南東側

南東側には屋外プールなどがありますが、そちら側にも門があります。右は「御園通り」、左は「本重町通り」。

「御園」の名には歴史が沢山詰まっていますが、「御園通」には(御園座周辺を除いて)特別これといった特徴がなく、大多数の人は”まちしるべ”に気付かず素通りしてしまうかも。

 御園小敷地北東側

敷地面積はおよそ9,300平方メートル。都心と言えど、これほどまとまった再開発用地はなかなかありません。

 御園小敷地北西側

周辺は中小規模の事務所ビルが多くを占めています。

 御園小敷地南西側

こちらは東側に比べ、小学校敷地内より周囲の土地の高さが少し低くなっています。これは名駅方面に向かって海抜が低くなっているためです。周辺は公園やホテル(建設中)、マンションなどに囲まれています。

 下園公園

御園小学校のすぐ南隣にある公園です。曜日を問わず、オフィスワーカーや家族連れなどに広く利用されており、安らぎを求めて多くの人々が訪れています。1987年開園。

公園内は一部が日本庭園風に整備されています。

錦通りを挟んだ南向かいには、名門「名古屋観光ホテル」が立地。

なんだか水辺ばかり撮りたくなるのは、市内における親水空間がまだまだ物珍しいからか。

ちょっとした広場や木陰、親水空間もあり、とても充実した公園です。

 働く場所から住む場所へ

 マンション集積が進む下園公園・御園小学校付近

古くからオフィス街として発展してきた地下鉄伏見駅界隈は、名駅地区の再開発によるオフィス集積に伴い、近年は事務所ビル跡地にマンションが建設されるケースが急激に増えてきました(写真左はホテル建設中)。名駅地区や栄地区に比べ比較的閑静で交通の便も良く、デパートは自転車や都心ループバス圏内、市内最大のイオンモール「mozoワンダーシティ」も地下鉄で1本と、立地条件に優れているのが大きなポイントです。

 2017年秋完成予定の「(仮称)Lamplight Books HOTEL」

全国で「チサンホテル」などを展開する「ソラーレホテル&リゾーツ」が運営するビジネスホテルです。下園公園のすぐ西側に建設中です。地上13階建て。

 本重町通り

真新しいマンションが点在しています。

 2018年度末完成予定の 「(仮称)錦一丁目プロジェクト」

野村不動産が計画を進めている、21階建てマンションの建設地があります。プランやマンションの正式名など、記事作成段階では詳細は判明しませんでした。野村不動産は納屋橋東地区に「プラウドタワー名古屋栄」(完売済み)を完成させるなど、積水ハウスに対抗して伏見界隈で積極攻勢に出ています。

 錦二丁目7番街区の市街地再開発が始動!

出典 錦二丁目7番街区再開発 市都計審で事業計画承認(2017年1月26日 日刊建設工業新聞

2020年度完成予定の「東地区」複合ビル イメージパース

同計画は、野村不動産・旭化成不動産レジデンス・日本設計などが事業協力者として計画を進めています。2017年1月の都市計画審議会にて、名古屋市より”市街地再開発事業”として承認されました。同時に7番街区の”地区計画”が定められ、建設する建物の高さの最高限度が150mに定められました。2017年1月時点では地上41階建てとなっていますが、現段階で高さは流動的で今後も変更が予想されます。300戸級の都市型マンションやサービス付き高齢者住宅が入る「高層棟」をメインとし、隣接する低層棟」にはスーパーなどの商業施設や駐車場などが入る計画です。パースで見ると、「東地区(A)」に高層棟、「東地区(B)」に低層棟が建設されると思われます。

公式サイトは「錦二丁目まちづくり協議会」以外に見当たりませんが、「準備組合」が設立されています。

出典  錦二丁目7番地区計画(計画図)(名古屋市公式サイトより)

 錦二丁目7番街区 位置図

同街区は地下鉄伏見駅から北へ5分ほど歩いた場所にあり、どちらかといえば地下鉄丸の内駅のほうが最寄りのエリアです。地区計画によると、街区は「東地区」と「西地区」に分けられ、さらに北と南で計4分割されます。マンションが建設される東地区(A)は、最も面積が広くなっています。街区中央部に広場が整備されるほか、西側の「桑名町通り」と南側の「袋町通り」へ連絡する歩行者通路が整備される予定です。

出典  グーグルマップより(地区計画図を基に作成)

 錦二丁目7番街区 航空写真

「東地区」は大半がコインパーキングとなっており、比較的開発が容易と思われます。一方の「西地区」はエリア内のほぼ全域に既存建物があり、多数の地権者で構成されています。街区全体が”地区計画”区域に指定されていますが、そのうち”市街地再開発事業”の対象となっているのは「東地区」のみとなっています。古くから碁盤の目に区画整理されている地域ですが、街区一体での開発が難しいのは、こうした複雑な地権者構成によるものと思われます。同計画は10~15年以上前から計画されていましたが、地権者問題による難航が続いていました。

 旧アートラボあいち

東地区(B)内にあるビルには、2017年3月末まで「アートラボあいち長者町」が入居していました。「アートラボあいち長者町」は、伏見・栄界隈の街全体を舞台に、3年に一度開催される芸術祭「あいちトリエンナーレ」や若手アーティストの情報を発信してきましたが、現在は愛知県庁大津橋分室内にある「アートラボあいち大津橋」にその機能が集約化されました。

 街区南東側からみた東地区(B)

中央に見える5階建ての茶色いビルが「アートラボあいち」の入っていたビルです。1階の飲食店はまだ営業中でしたが、東地区(B)の再開発対象区域内にあるため、いずれは閉店すると思われます。

 街区東側(長島町通り)からみた東地区(A・B)

コインパーキングは、AとBの両敷地にまたがっています。

 解体を待つ「エフリード伝馬町ビル」

 街区北東側からみた東地区(A)

街区の北東角に建つ「エフリード伝馬町ビル」は既に閉鎖されています。その右隣にもマンションなどが建っていますが、再開発対象区域のため、のちに解体されると思われます。この界隈にはスーパーなどの手頃な商業施設が無く、低層部にスーパーの入居が計画されているのは入居者への配慮と思われます。先に完成した「プラウドタワー名古屋栄」も周辺にスーパーが少ないことから、低層部に「ピアゴ ラ フーズコア」が出店しています。

 街区南西側から見た西地区

こちらは新旧の建物が混在しており、ブティックや呑み屋、業務ビルなどが立地しています。既存建物が多く、仮に再開発するとしてもかなりの時間がかかると思われます。

 錦二丁目”都市の木質化プロジェクト”とは?

 地区内に複数設けられている木質化ポイント

名古屋の中心部に位置する、長者町繊維問屋街を中心とした「錦二丁目地区」は、繊維業の衰退や地区内の人口減少と共に、地区全体の個性と活力が失われつつあることから、20年先を見据えた構想を具体化する為、地域住民と行政・専門家が一体となり、5つのまちづくりプロジェクトを立ち上げました。その中の1つが、「都市の木質化」を含む「低炭素地区プロジェクト」です。林業や木造建築業の就業人口の減少による人工林の荒廃化を防ぐため、無機質な都市空間に木材を積極的に取り入れることで、「山」と「街」が共に連携し、活性化することを目的としています。

 路上に設置された木質ベンチ(長島町通り)

一部歩道上に設置されているものもありますが、多くが歩道に沿った民有地内に設置されています。

 「名古屋センタービル」敷地内のウッドテラス(伝馬町通り)

テラスや先述のベンチは「飲食が可能」となっています。

最近まではこういった公開空地などの”公共空間”での木質化が中心でしたが、近年はバルの屋上テラスなど、”商業空間”への取り入れも進んでいるようです。

 名古屋センタービル1Fのグリーンウォール

生憎、蝶は確認できませんでしたが、この日はミツバチが訪ねて来ていました。

 伏見界隈の南北の連携

 長島町通り

三の丸地区の「外堀通り」から南下し、地下鉄桜通線「丸の内」駅、先述の錦二丁目7番街区を経て、名古屋市科学館の「プラネタリウム」入口までをつなぐ、南北の通りです。今後の伏見地区の南北の連携には欠かせない通りですが、伏見まちづくりビジョンによると、長島町通りの歩道拡幅構想があります。(区間は明確ではありません。詳しくは次の記事にて。)

緑少なめな通りで、悲しいお知らせが…。先人に植えられてせっかくここまで育ったのに、”支障になった”と言われると、ちょっと悲しげ。

 長島町通り

最期の雄姿。最近、栄界隈や桜通りなどでは行政主導による街路樹改革が行われていますが、この通りも”切る一方”か”現状維持”ではなく、できれば”増やして”欲しいです。(特に民間ビル内の公開空地に見られる積極姿勢に比べると、まだまだ消極的)

 伏見通り(金山方面)

圧倒的な存在感の「グランドメゾン御園座タワー」(40階建て160m)と、先輩の「名古屋インターシティ」(右手前・2008年完成・19階建て93m)。

 名駅方面からみた伏見方面(都市センターの模型)

新御園座や納屋橋東地区の「プラウドタワー名古屋栄」はまだ”反映”されず。これからのお楽しみ。

参考 錦二丁目7番街区再開発(名古屋市中区)/市都計審で事業計画承認/準備組合(2017年1月26日 日刊建設工業新聞)

参考 野村不動産など、中区錦に高層マンション計画(2016年6月10日 中部経済新聞)

参考 錦二丁目7番地区計画 計画図(名古屋市公式サイトより)

外部リンク 錦二丁目まちづくり協議会 公式サイト

外部リンク アートラボあいち 公式サイト

見界隈での再開発が次第に進むにつれ、「御園座」「下園公園」「御園小」「科学館」「7番街区」といった各拠点を結ぶ、南北軸の「伏見通り」、「御園通り」、「長島町通り」の重要性が増してきました。ソフト面では、「あいちトリエンナーレ」や「都市木質化」などの面的な連携が見られますが、ここへ来てようやくハード面での動きが追いついてきた気がします。新生「伏見」の第一ステップとして、まずは各所で点での再開発が行われていますが、その後の伏見界隈の人の行き来を活発にするためには、点から面での開発へとステップアップさせる必要があります。そのために、現在継続されているソフト面での地域住民の連携を拡大させるとともに、長期的な視点でぜひ通りの活用にも着目してほしいと思います。次の「後編」は、伏見界隈の錦通り~南側を取り上げます。

※2017年6月17日(一部6月10日、5月28日)撮影。

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コメント

  1. たぬ より:

    錦二丁目のやつは115mとあってまた縮小かと思ったのですが 誤植だと思いたいです

  2. k-carrot より:

    たぬさん

    確か階数はそのままで、高さは115mだったので、階数か高さのどちらかが誤植かもしれないですね。