栄の待ち合わせスポットとして長年親しまれてきた、サカエチカ「クリスタル広場」中央のクリスタルオブジェが、サカエチカ開業50周年の大規模リニューアル工事(2019年オープン予定)に伴い撤去されることとなりました。現地に掲示されたクリスタルオブジェ撤去の案内には、長年待ち合わせスポットとして親しまれてきた証が示されています。
サカエチカって道路なの??
クリスタルオブジェ撤去前の様子(2016年10月23日)
名古屋のど真ん中、「栄」交差点の真下にある約1,300平方メートルの広場。一般に、道路下に形成された地下街の通路部分は、道路法(1952年制定)に基づく「道路」として扱われてきました。このクリスタル広場も、同様に道路の一部として管理されており、イベントの実施やオープンカフェの設置、あるいは地下街本体に支障を来さない軽微な店舗改修にも、道路管理者である名古屋市への許可(いわゆる道路占用許可)申請と、道路占用料が必要でした。
道路法…(道路の占用の許可) (昭和27年6月10日法律 第180号)
第32条 道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。①電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物
②水管、下水道菅、ガス管その他これらに類する物件
③鉄道、軌道その他これらに類する施設
④歩廊、雪よけその他これらに類する施設
⑤地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設
⑥露店、商品置場その他これらに類する施設
⑦前各号に掲げるものを除く外、道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの
そこで2016年8月に名古屋市の道路占用許可基準が緩和され、”道路”である「サカエチカ」の施工管理権が市からサカエチカマチ(株)へ移管されたことで、軽微な店舗改修や装飾物の寸法・規模・掲載期間などに対して同社が独自にルールを設け、管理ができるようになりました。さらに広場でのオープンカフェの設置や、イベントの実施などが、より柔軟に実施できるようになる見通しです。広場に新しく整備されるイベントスペースの利用規定などは、2018年5月3日現在”準備中”となっており、また別の記事でご紹介できるタイミングがあれば、させていただきたいと思います。
サカエチカ初の社会実験『CHIKA FES 2016』開催!!"(旧栄地下センター(株)プレスリリース)
↑2016年10月に行われた社会実験では、1日限りで試験的にクリスタル広場にオープンカフェが設置され、イベントも行われました。その時の様子を少しだけ紹介しています。
↑利用規定が近々公開されると思います。(2018年5月3日時点では準備中)
クリスタルオブジェは、内部に水が張られた御影石の、土台の中央に設置されていました。従来は土台の周囲全面にチェーンポールが設置されていましたが、通行人が腰掛けられるよう、生け花が飾られていた四隅を除いてポールが撤去されていました。大勢の人が行き交う栄の地下街に少しでも憩いの場を提供できればという、管理会社の配慮によるものだそうです。
撤去されたクリスタルオブジェの歴史
2代目オブジェ「光彩」
「クリスタル広場」の名前の由来となったクリスタルガラスの初代オブジェは、1969(昭和44)年のサカエチカ開業当初より設置され、当時世界一の規模とされていました。今回撤去されたオブジェは、サカエチカが開業30周年を迎えた1999年に設置された2代目オブジェで、直径10~30センチの宙吹きクリスタルガラス450個を高さ2.4メートルまで積み上げて造られた「中央オブジェ」と、それを包み込むように絶妙なバランスで重ねられた厚板高透過ガラス、さらに台座に敷き詰められた2万個もの小さなガラス玉と、配管から発生するバブルが一体となり、まるで泉からじわじわと湧き出てくるような凝った演出がなされていました。撮影時はバブル発生装置は停止しており、通常時より水嵩が低くなっていました。
クリスタル広場 History" (サカエチカマチ(株)公式サイト)
↑初代オブジェ「シャトークリスタル」の写真も掲載
そして撤去へ…(2016年10月30日)
撤去の発表からわずか1週間ほどで仮囲いが設置されました。クリスタル広場はワイドショーのインタビュースポットとしても広く活用されてきただけにもう少し猶予があるかと思いましたが、発表から撤去までがあまりに早すぎる…。
オブジェ撤去後(2016年11月3日)
あっけなく撤去が完了。次の工事着手までに時間があるのか、再び広場が解放されました。
オブジェのバブル演出はまだ健在!
台座のガラス玉はそのままに、再び噴水が復活していました。土台の四隅に設置されていた生け花は、入れ替えのため一時的に撤去されています。じっくり見ていると、海の浜辺みたいにも見えて落ち着きます。
ひそかに進むバリアフリー化(以下2016年10月23日撮影)
クリスタル広場前トイレ改修工事
クリスタル広場北側(栄交差点北東角付近の地下)にあったトイレが閉鎖されていました。これまでなかった「授乳室」や「キッズ向けトイレ」を設置するほか、公衆電話の設置スペース跡を新たに待合スペースとしてリニューアルします。家族連れでの買い物の多い栄地区の需要に対応した設備に一新しそうです。
地下鉄東山線連絡階段 斜行エレベーター設置計画
バリアフリー化対策の一環として、サカエチカ北通路と地下鉄東山線コンコースとの連絡階段に、エレベーターを設置します。1日約2万6000人もの通行量がありながら、階段は傾斜が急であり、バリアフリー化を求める声が多くありました。エスカレーターや通常のエレベーターでは設置スペースが足りないため、かごが階段に沿って斜めに移動する「斜行式エレベーター」を設置する計画となっています。