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都内のJR最古の木造駅舎は保存か?解体か? 東京五輪を控えたJR原宿駅の大規模改良・建て替え工事 2017.11.4

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JR東日本は、2020年の東京オリンピック開催に向け、都内に分散される競技会場に近い駅を「アクセス駅」として拡張する工事を進めています。工事は本記事の「原宿」駅のほか、新国立競技場に近い「千駄ヶ谷」・「信濃町」両駅でも先行着手されているほか、「有楽町」・「新橋」・「浜松町」・「新木場」の各駅でもホームドアやエレベータ設置などのバリアフリー化と、コンコースの拡張工事が行われます。

現在のJR原宿駅は1面2線の島式ホームですが、日常的に利用客の多い、1日約15万人が利用する駅としてはかなり手狭な状態となっています。

出典 駅改良の工事計画について(2016年6月8日 JR東日本プレスリリース)

 新駅舎(明治神宮口)

2階建ての橋上駅舎。右側に描かれているのは「神宮橋」です。

出典 駅改良の工事計画について(2016年6月8日 JR東日本プレスリリース)

 新駅舎改札内コンコース

左が明治神宮(西)、右が表参道口(東)だと思いますが、よく見ると右端に現在の木造駅舎が描かれている…?

出典 駅改良の工事計画について(2016年6月8日 JR東日本プレスリリース)

 表参道口・(新)明治神宮口 位置図

当駅には、表参道口と竹下口の2つの出入口がありますが、改良工事では新たに「明治神宮口」を新設します。また、表参道口との間に新しい橋上駅舎を建設し、改札口を拡張します。(※上の図では、竹下口の描写がありませんが、そちらはほぼ現状維持になると思います)注目すべきは、現在の木造駅舎のある場所を避けるように橋上駅舎が建設される図になっていることです。つまり木造駅舎はその機能を失っても建物はその場に残る可能性があります。保存の有無については記事作成時点でJRから正式なアナウンスはありませんので、続報を待ちたいと思います。

 臨時ホームを外回り専用ホーム化

 工事が始まった臨時ホーム

手狭なホームを拡張するため、お正月の明治神宮への初詣客など、これまで多客時のみ使用してきた「臨時ホーム」を改良し、東京五輪までに外回り専用のホームとして常用化することが決まっています。

臨時ホームといっても、上屋が無い以外は通常のホームと何ら変わりない頑丈な造りになっていますが、一から造り替えられるのだろうか…?

 竹下口への地下通路付近

改良工事に伴い、外回りのホーム上に設置されていたホーム可動柵の一部が撤去されるという珍しい現象が起きていました。撤去された箇所には、異常時などにも即対応できるよう警備員が常時警戒中。この撤去措置は、現在の竹下口からホームまでの地下通路を、新しい外回りホーム(現行の臨時ホーム)まで伸ばすためのものです。

 地下通路 新設箇所

この線路の下をくぐるための地下通路が新設されます。

臨時ホームは、明治神宮の敷地の一部である「常磐の杜」に面していますが、敷地に沿って矢板が打ち込まれています。外回りホームへのリニューアルにあたり、現在の臨時ホームの真上に新しいトイレなどを設けた橋上改札への通路が設置されます。(前述の配置図参照)

一瞬「ゆり」という名前のクレーンかな?と思いましたが、よく考えると本物のユリのことですね(笑)

 ホーム南端から新宿方面

木造駅舎はホームから見ると、正面から見るよりも大きく見えます。隣は山手貨物線を通過中の湘南新宿ラインE231系。やはりこのあたりまで来るとホーム幅がかなり狭いです。

 駅舎の意匠

 表参道口へのこ線橋

日中は大勢の人々が行き交う通路も、早朝に外を眺めながらのんびり渡ると、また駅の違った雰囲気を味わえる。趣ある”たすき格子”が神宮の参道っぽい感じ。

こ線橋には駅舎と同じ意匠が取り入れられており、程よく錆びた鉄骨が煉瓦の風合いにマッチ。木製(ティンバー)の窓台や梁、柱の一部を外観上に表し、その間に煉瓦を並べたり、漆喰などで白い塗り壁に仕上げる「ハーフティンバー様式」を採用。西洋の木造建築で取り入れられてきた工法だそうです。

表参道口改札へのスロープは、天井がすぼまった独特の形状。

 表参道口改札

現在の表参道口改札は地上にありますが、改良工事で新しい橋上駅舎の2階部分に設けられます。改札スペースも倍近くに広がると思われます。

改札横の上げ下げ窓は鉄サッシでしたが、かつては木製サッシだったのかもしれません。

 表参道口の飾り窓

幾何学模様のステンドグラスが用いられています。右側の窓がスタンプ台に隠れてしまっているのがやや残念。

 覆輪目地の化粧煉瓦

煉瓦と煉瓦の間の目地が、かまぼこ状に盛り上がった形に仕上げられた「覆輪目地(ふくりんめじ)」という工法は、建物の雰囲気に柔らかさを与えるために用いられたもので、東京駅丸の内駅舎などにも見ることができます。現代では一般には継承されていない、非常に手の込んだ職人技です。

柱の自然な木目が美しい。

現在は使用されていないと思われる改札内に設けられた出入口。

 表参道口駅舎

現在の駅舎は1924(大正14)年に建てられた2代目。都内のJR線の駅舎の中では最も古く、「ハーフティンバー様式」と屋根の上のシンボリックな尖塔が特徴的。

見上げれば原宿の街を見下ろす風見鶏。

目線を下げると、ファザードの軒や時計まわりの装飾が目を惹く。

こちらも美しい、梁や柱の木の質感。

軒の装飾は、拡大してみると木材から一つ一つ丁寧に彫られているのがわかります。ぜひ拡大してみてください。

金色に輝く銅板の色合いと相まって、風見鶏もどこか誇らしげ。

歴史の刻まれた切妻屋根を見ても、都内最古の木造駅舎にふさわしい風格です。

原宿駅の向こう側には一面に明治神宮が広がり、高層ビルなどが映り込むこともありません。今や23区の都心部では高層ビルのない風景のほうが珍しくなってきていますので、非常に貴重な光景です。

 PM10:30ごろの表参道口

夜の原宿駅も、都心部らしからぬ異国情緒が漂う。

この時間になると、さすがに混雑も落ち着いてきます。

 神宮橋からみた原宿駅

工事は車両の運行本数が減る夜間に行われているようです。4本の線路をまたぐように橋上駅舎が新設され、さらに左手の明治神宮に面した箇所に新しい「明治神宮口」が新設されます。大掛かりな工事なので、終電後も含めた夜間工事でないと安全に作業ができません。

手前の作業箇所が、橋上化後の新しい「表参道口」の新設箇所です。現在の木造駅舎の隣の敷地にあたります。

 原宿駅の宮廷ホーム

夜、新宿方ホームから新宿方面を見ると、一段ときらびやかなホームが見れます。木造駅舎(2代目)が完成した2年後の1926(大正16)年に造られた、天皇陛下専用ホーム(宮廷ホーム)です。大正天皇がここから葉山の御用邸に向かわれる際などに使用されることがあり、現在も天皇陛下がご乗車されるお召列車のみが発着できます。(現在はあまり利用されていないようです。)

宿駅は定期外利用が定期利用のほぼ倍近くあり、通勤・通学での利用よりも明治神宮への参拝者や、竹下通り・表参道に遊びに来る人の利用が多いようです。特に外国人旅行客が増える中、オリンピック効果も相まって当駅駅舎の注目度はいっそう高まるのではないでしょうか。時間の都合上、竹下口までじっくり見ることができませんでしたが、表参道口だけでも見所が沢山あって十分楽しむことができました。

出典 駅改良の工事計画について(2016年6月8日 JR東日本プレスリリース)

外部リンク 原宿駅、竹下口と新外回りホーム(現明治神宮側臨時ホーム)を結ぶ地下通路設置のために一部ホームドアを撤去…7月25日から(2017年7月14日 鉄道チャンネル)

外部リンク 東京 2020 大会に向けた駅改良の工事計画について(2017年6月6日 JR東日本プレスリリース)

※すべて2017年11月4日撮影。

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