名古屋の老舗、松坂屋本店(名古屋店)の地下食品売り場の全面改装工事が、19日をもってすべて完了しました。
今回、同店の食品売り場では13年ぶりとなる大改装によって、54店舗が新規出店、厨房を売り場外に集中させるなどして店舗数は128店舗から153店舗へと大きく増加しました。
リピーターにもわかりやすいよう、地下食品売り場専用のフロアマップや案内係を置くなど改装後のフォローも徹底されています。また、ベーカリーやワインなどを扱う地下2階のフロアは、パリの街並みを再現するなど視覚的にも楽しませる仕掛けがあるようです。
2012年から順次行われてきた同店の改装工事では、今年3月にポケモンセンターナゴヤがオアシス21より移転オープン(本館5F)したほか、4月には全国の百貨店で初進出となる国内最大級のH&Mが開業(南館B1F~1F)しています。
今回の地下食品売り場の改装効果は同店全体にも徐々に波及しており、先月の同店の売上高は前年同月比24.7%増と、南館が開業した1991年3月以来の大きな伸びとなりました。
一方、名古屋駅直上に鎮座するジェイアール名古屋タカシマヤは、松坂屋に比べて今春の改装は小規模にとどまったもの、先月時点で前年比の売上が26ヶ月連続増収(震災のあった2011年3月を除くと、リーマンショック以来30ヶ月以上連続増収)という怪物並みの規模にまで成長してきています。
鬼のように出店攻勢をかける郊外型SCに押され、“百貨店は斜陽産業”と言われる昨今ですが、連日ここまで好調さが持続されているのは極めて異例だと思います。
タカシマヤは2000年3月に名古屋に初めてオープンしました。当初計画の松坂屋に代わってJRセントラルタワーズに出店することとなりましたが、当時はタカシマヤがこれほど名古屋に定着すると想像した関係者はいなかったのではないでしょうか。
それは単にアクセスの良さだけでなく、(東急ハンズを含め)直営店舗でないからこそ、他店とは一味異なる個性的なフロアづくりが実現でき、それが来店者の目に斬新・魅力的に映っているのだと思います。
2016年には、タカシマヤのフロアは現在の約1.6倍に広がり、全国の高島屋の中で最も大きな店舗となります。その頃に市内の百貨店の構図がどのように変化しているかはわかりませんが、松坂屋を初め他百貨店はタカシマヤが独走態勢に入る前に次なる一手を打ち出し、市内の百貨店市場をもっと賑わせて欲しいと思います。
愛知万博が始まる前、2004年頃は「両雄揃って元気ナゴヤ」と言われるほど、名駅地区に負けず栄地区もラシックやサンシャイン栄の開業などで話題も多く、活気にあふれていました。しかし、ここ最近は名駅地区にやや押され気味の状態で、栄地区全体で見ると少し停滞感があります。加速し続ける名駅に追いつけなくなってきたと言ったほうがいいかもしれません。
やはり市場の活性化は競争があってこそです。互いに切磋琢磨しながら、名古屋を盛り上げていって欲しいですね。