名古屋市住宅都市局は、今月17日に「栄地区グランドビジョン」を策定しました。これは、2027年のリニア中央新幹線開業までに、栄地区において魅力あるまちづくりを実現するための基本方針を定めたもので、「最高の時間と居心地を提供」を基本コンセプトとしています。その中でも、「公共空間の再生」「民間再開発の促進」「界隈性の充実」を三本柱として掲げています。
【公共空間の再生】…広小路通り・大津通りの歩道拡幅。沿道建物低層部と一体化した歩行者空間の整備。久屋大通公園内外の高低差の緩和。公園の地上と地下を結ぶ昇降設備の充実(EV・ESを集約化した拠点の整備)。栄バスターミナルの公園外への移設と、跡地の再整備。
【民間再開発の促進】…容積率の緩和を踏まえた新たなルールづくり。帰宅困難者の収容施設など防災機能の整備。栄角地(錦3丁目25番街区)・市教育館一帯(錦3丁目16番街区)の再開発。25番街区は商業・飲食・滞在・文化・学び・アミューズメントなどの魅力ある機能を導入したシンボリックな施設を整備。
【界隈性の充実】…駐輪場やベンチなど休憩施設の設置。
個人的な意見として残念なのは、【公共空間の再生】の中に、伊勢町通りやプリンセス大通り、入江町通り、矢場町通り(パルコ周辺)といった、一本裏の通りの歩道拡幅や段差解消が盛り込まれていない点です。これら4通りは実際に歩道を歩いてみてもかなり歩きにくいです。飲食店やオフィス・物販店などが集中している通りでもありますが、今回に限らずメイン通りばかりクローズアップされている点で、まだまだ栄を面として捉えきれていない感があります。
広小路通りの歩道拡幅は、松原前市長時代の「広小路ルネサンス構想」が記憶に新しいですが、タクシー業界の反発や緊急車両の通行、交通渋滞の問題などからお蔵入りした経緯があります。しかし、今回のビジョンに盛り込まれていることからも、いずれ実現させる方向で話が進んでいるようです。
久屋大通公園については、飲食街の整備や芝生広場の整備といった様々な構想も挙がっており、全体像が見えてくるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。
錦3丁目の25番街区と16番街区は、かなり前から再開発構想がありますが、一向に計画がまとまりません。名古屋市教育館は、以前単独で建替える話がありましたが、その後音沙汰なく建物も未だに現役であることから、区画一体での再開発に再度方針を転換したのかもしれません。
今回のビジョンに掲げられた構想がすべて実現するまでには相当な費用と時間が必要と思われますが、少しでも名駅地区に巻き返しを図るためには、今できることから着実に進めていってもらいたいですね。