今月15日の中日新聞(夕刊1面)が報じたところによると、名古屋市は日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館)の移転・新築を検討していることがわかりました。
金山地区といえば、こちらの記事でもご紹介しましたが、名古屋市は今年度より金山総合駅を中心とした約30ヘクタールの開発検討調査に乗り出しており、既に検討調査を都市研究所スペーシアに委託しています。市民会館の老朽化に加え、アスナル金山の定期賃貸借契約が満了となることを見据え、2002年に策定された地区整備計画を見直し、新たに開発計画を策定するという大掛かりなものです。
現在は、市や有識者、地元住民が中心となり、市民会館周辺も含めた金山駅前一帯のまちづくり構想の協議を続けています。市民会館の稼働率は9割で、2014年度は大、中ホールでそれぞれ300回以上の公演や式典が行われているとのことです。1972年に完成し、オーケストラ演奏に対応した4階建ての「大ホール」は2,291席、演劇などに対応した2階建ての「中ホール」は1,146席、他には20~90人用の会議室3室があります。
市民会館より市道を挟んだ北側には、「名古屋市音楽プラザ」があります。市民が音楽や舞台芸術の練習の場として活用できるよう、1997年に完成した公共施設です。
音楽プラザの区画内には、URのアーバンラフレなど複数のビルが入り組んでおり、音楽プラザそのものの経過年数を考えても、現時点ではあまり動きは無さそうです。
こちらは市民会館の北側(音楽プラザの西側)に立地する「古沢公園」。
古沢公園の地下には、名古屋市が運営する「古沢公園駐車場」があります。
入口から入ると、いきなり「いらっしゃいませ!」という威勢の良いオバ〇ン声がスピーカーから聞こえてきて、ビビりました。ちょっと昭和の香りのする駐車場です。
なぬ!耐震工事。いざというときの備えでは極めて重要な工事ですが、ここで再開発の可能性を悲観していてはいけません。
パッと見、言うほど古くない駐車場だなと思いましたが、この誘導灯から醸し出す雰囲気、完成はかなり古そうです。手入れが行き届いているのでしょうね。中には詰所があり、警備員の方がいらっしゃいましたので撮影はここまでです。
再び地上に出てきました。市民会館(左)と、古沢公園。公園はともかくとして、一日43万人が利用する駅から数百メートル歩いてこの風景、あまりにも寂しすぎると私は思います。
市民会館を北西側から。右の道を南下すると、すぐに「アスナル金山」に至ります。市民会館は改修工事中です。何をやっているのかは不明。
南下して振り返ったところ。市民会館裏(南西)側・ダイエー前。やはり金山という街の層の薄さは、この辺りの歩行者動線の悪さ、視覚的なインパクトの無さに起因するのではないでしょうか。市民会館は地下通路で地下鉄金山駅と直結していますが、地上がこのままでは駅構内やアスナルの賑わいがここまで波及することは永遠にないでしょう。(ここまでと言っても、わずかに1ブロック北側なのですが…)
さて、そんな市民会館周辺の裏寂しさとは打って変わって、連日大盛況のアスナル金山。アスナルステージでは、定期的に芸能人のイベントやライブなども開催されており、北口のシンボルとしてすっかり定着しています。大物芸能人のイベント時には、デッキが落下するのではと思うほどの人出になります。
しかし、残念ながらこの光景が見られるのもあと4年ちょっと。金山の交通の利便性を考えても、このライブ会場的な機能・施設配置は是非とも後継施設に生かして欲しいところです。ただのテナントの寄せ集めでは、ここまでの賑わいは絶対に起こせないはずです。
最後に、市民会館・アスナルと連携した"再開発”を切に願いたい、間に挟まれた「金山総合ビル」をアスナル前より撮影。
アスナル金山は、現状バスターミナルやタクシープールなどの交通広場も擁しており、再開発時にはこれらの機能も盛り込んだ大きな計画になると思われます。市民会館の現地建替えは、需要に応えられなくなるとして名古屋市が否定しており、別の場所での新築を検討しています。個人的な意見としては、市民会館の解体よりもこのアスナル金山の再開発に先に着手し、市民会館のホール機能とアスナルの小ライブ会場機能を同居させてはどうかと思います。実際アスナルより交通の利便性に富んだ、まとまった敷地が他にあるかと言うと微妙ですからね。
※写真は2015年9月19日撮影。