今月16日付の建通新聞によると、名古屋市住宅都市局は新年度から金山総合駅を中心とした約30ヘクタールの開発検討調査の実施に乗り出します。同地区では、愛知万博の開幕を控えた2002年に「地区整備計画」が策定されましたが、近年は同地区内に立地する日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館)などの公共施設が老朽化していることに加え、2027年にはリニア中央新幹線が開業することから、金山駅周辺の拠点性の向上を目的とし、新たな開発計画を策定する運びとなりました。これに向け、2015年度は事業スキームやスケジュール、導入機能などの検討に着手するとしています。
金山駅南口付近。99年の「金山南ビル」の開業に合わせて駅前広場も再整備されたため、北口より小奇麗な雰囲気です。
南口の駅前広場には、近くの「イオンモール熱田」を結ぶシャトルバスのりばがあります。
「金山新橋」交差点から金山駅南口方向。左は金山のランドマーク「金山南ビル」。
南口周辺は緑も多く、歩いていて気持ちが良いです。
北口へ。
大津通り沿いの雑居ビル群。ある意味これも「北口」の顔のひとつと言えるかもしれません。「金山ワシントンホテルプラザ」が大幅リニューアル中でした。
北口の顔としてすっかりお馴染みの存在となった「アスナル金山」。土地は名古屋市が所有し、名古屋都市整備公社が15年の事業借地権を得て事業コンペを実施、北山創造研究所・清水建設グループの最優秀案に基づいて建設されました。15年という限られた期間であることや、愛知万博に間に合わせるため建物は簡易的なものとし、初期投資を抑えた造りになっています。2005年の開業から15年後となる2020年まであと5年。金山における商業施設の在り方を見出し、次のステップへとバトンタッチするための成果は、現在のアスナルの集客状況から十分得られたと言っていいと思います。新たな開発計画は、この「アスナル金山」の跡地を軸に検討される可能性が高いです。
北口のすぐ目の前にある「長谷川ビル」地下は、飲食店の集まる「カナヤマギンザ」として今年1月にリニューアルしました。
こちらも建替えが完了している「ダイエー金山店」。建替え中はまさがダイエーの屋号が消えることになるとは思いませんでした。
アスナル金山の向かいに建つ「金山総合ビル」。1979年に完成した事務所や店舗が入る複合ビルで、第一生命と明治安田生命が区分所有しています。北口では非常に目立つ存在ですが、そろそろ建替えの話が出てきても良い頃。
そして金山総合ビルのすぐ北側にある「日本特殊陶業市民会館」。
金山総合ビルと市民会館の間の道路。これだけ駅に近いのに沿道に何も無いのは勿体無いですね…。
ダイエーの裏も新旧の建物が入り混じり、道路だけが無駄に広く、がらーんとしています。
市民会館裏の道を進むと、
さらに市民会館の北側にある、古沢公園。公園の地下は市営駐車場になっており、市民会館と地下で連絡しています。
公園自体は非常に綺麗に整備されているため、現状維持で推移しそうな感じがしますが、公共施設のため何かしらの動きが無いとも言えません。
市民会館の北側、古沢公園との間の道路。こちらも何もなく寂しいです。
市民会館の正面。金山総合ビルとは至近の距離です。
市民会館は1972年に開館しており、この時期は大学の卒業式などに使用されます。
市民会館の敷地面積は約13,200平方メートルとかなり広いです。
アスナル金山の西側、伏見通りに至るまでの間には2つの街区があります。街区内には老朽化した雑居ビルやアパート・木造住宅が密集しており、街区再編でアスナル金山とドッキングした大規模な再開発を期待していましたが、街区内に27階建てのタワーマンションが建ったため、一体的な開発は難しくなりました。伏見通りから駅北口までの動線を確保するチャンスだったのですが…。
伏見通りは、中区丸の内・伏見から金山を経由し熱田神宮方面を結ぶ大規模な幹線道路です。
最後にやっつけですが、北口にある各施設の位置関係をおさらいしてみます。事業スキームは、民間の資金やノウハウを生かす手法で検討され、官民一体での開発方針案の策定が予定されています。アスナル金山と金山総合ビル、市民会館は駅から一直線上に位置し、互いに連携した再開発が実現すれば非常に面白いことになります。ただ、これらの施設すべてが再開発されると決まったわけではないため、あくまで個人的願望にすぎませんが、2027年までにはいずれの土地も何らかの動きがあると予想します。
金山駅は、89年の世界デザイン博覧会の際に東海道線ホームの新設と旧名鉄金山橋駅の移設により総合駅化し、現在も利用者数は右肩上がりとなっています。最新の統計(2013年度現在)では、JR金山駅の一日平均乗車人員が61,704人(前年比3,327人増)、地下鉄金山駅が76,094人(同1,799人増)となっています。また名鉄金山駅は2013年度の一日平均利用者数(乗降人員)が156,516人となっており、前年度の一日平均乗車人員が74,674人、利用者数(乗降人員)は乗車人員×2として149,348人であるとすると、前年比7,168人増となります。3社合計の利用者数(乗降人員)は、2012年度が約41万4600人、2013年度が約43万2100人(いずれも一日平均で算出)と、前年比1万7000人の増加となっています。10年前の2003年度と比べると11万7000人、愛知万博が開催された2005年度と比べても5万4000人の増加となっています。
金山総合駅は、名駅・栄・大須といった主要繁華街だけでなく、県庁・市役所・名古屋城・ナゴヤドーム・名古屋港ガーデンふ頭・中部空港といった主要スポットへもすべて電車1本で行けるかなりの好立地です。周辺ではマンション開発も進み地価も上昇しており、今後も利用者数は増加すると思われます。しかし、現状駅前の大型商業施設はアスナル金山とダイエーくらいしかなく、周辺の飲食店等の集積も名駅や栄と比べてまだまだ少ない状況です。名古屋駅に次ぐ第二のターミナルとして、今後リニア開業までにどのように発展していくか非常に興味深いところです。
※写真はすべて2015年3月22日撮影。