名古屋市教育委員会は、市内にある各学年に1学級しかない9つの小学校の統合計画を進めてきました。2010年に計画案がまとまり、西区では幅下小・江西小・那古野小の3校を統合する方針が決定しました。この時点では、どの小学校を残すかまでは決まっていませんでしたが、今月11日に幅下小学校に新校舎を建設する方向で地元と合意したことがわかりました。
今後は設計費などを予算計上し、2015年3月末に3校を廃校、2016年度にかけて工事を実施し、2017年4月に新小学校を開校することとなっています。
工事期間中は、江西小を西校舎、那古野小を東校舎として活用し、幅下小の児童は江西小へ、一部遠距離通学となる児童は那古野小へ通学します。現在の各校の児童数は、幅下(175人)・江西(98人)・那古野(100人)です。最も敷地面積の広い幅下小が統合先として決定しました。
さて、問題となるのは新校開校後、跡地をどのように活用していくかです。特に那古野小学校は名古屋駅から徒歩数分圏内と抜群の立地条件です。すぐ向かいの旧名古屋市交通局那古野営業所跡地では、2009年に東京建物と丸紅がオフィス・商業・マンションの複合施設を建設しています。新小学校が開校する2017年4月までは大きな動きはないと思われますが、情勢次第では跡地を活用した大型再開発も十分見込まれます。
類似したケースとしては、名駅3丁目地区内にあった新明小が近隣小学校との統廃合によって閉校しましたが、こちらは敷地が細分化され、跡地の一角に独立してコミュニティーセンターやグラウンドが整備されています。残された敷地については一度行う予定だった売却を中止し、リニア計画も着々と進行する中で将来的なポテンシャルを見越した活用法を検討しているようですが、そもそも土地を分割してしまった時点で大型開発の可能性はかなり狭められたと思います。この新明小の跡地をめぐる一連の動きが今でもまったくもって意味不明です。ただでさえ名駅地区は"面”での発展が急務となっている中で、一部の人にしか利用できない「コミュニティーセンター」がなぜあの場所にわざわざ単独で必要なのか。グラウンドも、統合により300メートル南へ移転した笹島中学校の第2グラウンドという位置付けのようですが、とても新校舎と気軽に行き来できるような立地ではありません。本当にあの場所にグラウンドが必要だったのか。新明小跡地の件に関しては本当に理解し難い部分が多いです。
那古野小敷地の南側。ある程度ゆとりをもって設計された生活道路です。
敷地南東角。西側と北側西寄りに3階建ての校舎、北側に2階建ての体育館があります。
校舎の背後にそびえ立つのは、名古屋市交通局那古野営業所跡地の再開発によって誕生した、23階建て高さ106mのオフィス棟(名古屋プライムセントラルタワー)と、29階建て高さ106mの住宅棟(ブリリアタワー名古屋グランスイート)。
タワーズと絡めて。
敷地東側から南向き。日本郵政の新ビルとJRの新ビル、そして新「大名古屋ビル」の完成後は、ここから眺める景観も大きく変わります。
小学校のすぐ向かい(右)は名古屋市立第三幼稚園。コミュニティーセンターも幼稚園の隣にあります。
北へ少し歩くと、昔ながらのアーケード街「円頓寺商店街」。
敷地北側。体育館の裏側です。
だそうです。
名古屋プライムセントラルタワー。隣はマンション建設中です。
奥にチラリと見えているのは名古屋ルーセントタワー。
敷地西側。こちらは幹線道路に面しています。
NAGOYA PRIME CENTRAL PROJECT
というわけで、まだまだ先の長い統合計画ではありますが、那古野小跡地が今後どのように有効活用されていくのかが非常に注目されます。現状、駅前止まりの人の動線を面的に拡大させるビックチャンスでもあると思うので、ぜひ慎重に長い目で検討してもらいたいですね。