名古屋市交通局は、一部の既存駅のバスターミナルに駅ビルを建設し、敷地の上部空間を有効活用する調査に乗り出しました。2016年度予算内に調査費の確保を求めており、確保できれば調査業務の委託を行い、2016年度中に検討結果をまとめる予定です。
調査対象は計11駅。
調査の対象となる駅は、東山線…藤が丘・本郷・一社・星ヶ丘、中村公園・本陣、鶴舞線…平針・植田、名港線…名古屋港・六番町、名城線・桜通線…新瑞橋の計11駅です。これらの駅は地下鉄駅を併設したバスターミナルを擁しており、バスターミナル機能を残した上で跡地に商業ビルなどを建設できないか、それぞれ市場性や開発方法を検討することにしています。
本郷駅前の現状は―
本郷駅バスターミナル(名古屋市名東区)
本郷駅は名古屋市名東区に位置しており、一日約23,600人(2014年度)が利用しています。同駅周辺には東名高速や名二環(名古屋第二環状道)のインターが立地するほか、名駅・栄へ直接アクセスできる東山線沿線、かつ比較的治安の良い閑静な住宅街ということもあって、居住エリアとしての人気は高く、マンション開発が急速に進んでいます。
本郷駅バスターミナル(名古屋市名東区)
本郷駅のバスターミナルは駅の北側に隣接しています。広さは約2,940平方メートルで、まとまった広さがあります。工事に支障となるものも少なく、比較的容易に駅ビルが建てられそうな感じです。
本郷センターハイツ
バスターミナルに隣接して建っている複合ビルです。1~2階は商業テナント、3階以上は集合住宅となっています。1977年竣工の古いビルで、完成から40年近く経過しており老朽化が目立ちます。核テナントには元々「松坂屋ストア」が出店していましたが、店舗ブランドそのものの消滅により現在はマックスバリュとなっています。背後に建つベージュの高層マンションは、2015年10月に竣工した「アトラスタワー本郷駅前」です。
本郷駅北口とアトラスタワー本郷駅前
旭化成不動産レジデンスが展開するマンションブランド「アトラスタワー」としては、名古屋で初の物件でした。地上23階建て、高さ約81メートルで、名東区内で最も高いタワーマンション(2016年2月現在)です。駅のすぐ目の前にエントランスがあります。
建設地は西下がりのゆるい傾斜地となっており、エントランス周辺も高低差を生かした工夫がなされています。
アトラスタワー敷地内には公開空地が設けられ、敷地内を経由して北側の駅前通りから本郷駅へ通り抜けられるようになりました。
公開空地内に設けられたアプローチ。一部には通常の階段でなく大振りのコンクリートブロックを採用することにより、公開空地の開放感が阻害されるのを防いでいます。
エントランス付近の上屋も弧を描いたデザインになっており、堅苦しさを軽減しています。
タワー壁面の低層部は落ち着いた煉瓦タイルでまとめられており、明るいベージュで仕上げられた高層部との美しいコントラストが生まれています。
公開空地内の遊歩道。
アトラスタワーの西側も続々と動きが出てきています。
すぐ西側に建っていたアパートが解体されていました。跡地はマンション?商業施設?
こちらは元々木造民家などが建っていた敷地。立派な複合ビルが完成しており、2年ほど前とは景観が大きく様変わりしていました。
中でも注目したいのは、低層部のテナントスペース。階高を大きく確保し、大型サッシの採用で解放感溢れるデザインです。また、駅入口へつながるルートに面した外壁も、一部を斜めに後退させ、無機質な外観にならないよう工夫が施されています。
タイルはアトラスタワーに合わせたと思われる、レンガ調のタイルが採用されています。
最後はアトラスタワー敷地北側から見た、公開空地の入口と立体駐車場。
※写真はすべて2016年1月31日撮影。