地下鉄伏見駅から東へ300mほど歩いた広小路通り沿いにて建設中の複合ビル「(仮称)錦二丁目計画」の様子を見てきました。同ビルは旧名古屋銀行本店(再開発直前までは「UFJ貨幣資料館」)の隣接地に建設が進められており、歴史的価値のある旧名古屋銀行本店は新ビルの開業と同時に商業施設へのリニューアルオープンを目指し、改修工事が行われています。2008年に浮上した再開発計画は、10年越しの2018年2月に完成予定となっています。
新棟には三菱東京UFJ銀行が入居・飲食・物販店も誘致
広小路通西側から見たイメージパース(三菱地所プレスリリースより)
再開発計画は2棟構成となっており、旧名古屋銀行本店は「保存棟」、新たに建設中の新ビルは「新棟」の呼称が付けられています。それぞれの正式名称はまだ発表されていませんので、計画上の仮称と思われます。
建設中の「新棟」
旧名古屋銀行本店の東側に建設中の「新棟」は、地上21階建て・高さ約100mの高層ビルとなり、オフィスフロアには三菱東京UFJ銀行が入居することが決まっています。また、商業スペースには上質な飲食・物販店を誘致し、広小路通りの賑わい創出に繋げる計画です。オフィスが既にUFJグループで埋まっているのは、隣の三菱東京UFJ銀行名古屋ビルも連鎖的に建替えを行うためです。「新棟」はその受け皿としての役目を担います。現在は11階まで鉄骨が組み上がっています。
敷地西側より
右手前が改修工事中の「保存棟」、中央奥が新築中の「新棟」です。工事用ゲートの奥の空いたスペースには、タワーパーキングが建設される予定です。
敷地南東側(「広小路本町」交差点)
広小路通りを栄方面から歩いてくると、交差点の右手角に建設中の「新棟」が見えます。
敷地東側より
3階以上はカーテンウォールと同時進行で窓ガラスの設置も進んでいます。階高の高い1~2階は商業ゾーンとなります。
移転先の新棟と、建替え予定の「三菱東京UFJ銀行名古屋ビル」(右)
現在は双方のビルが本町通りを挟んで向かい合っていますが、「三菱東京UFJ銀行名古屋ビル」(以下「名古屋ビル」)の機能を「新棟」(2018年完成予定)へ移転させた後、「名古屋ビル」の建替えを行う予定です。構想では、建替え後の「名古屋ビル」の1階には金融機関を配置せず、カフェなどの商業店舗を配置することにより、商業地としての賑わい創出に貢献する計画です。新しい「名古屋ビル」の規模はまだ具体化していません。
三菱東京UFJ銀行名古屋ビル
同ビルは中部地方唯一の都市銀行であった旧東海銀行の本店として1961年に建設され、三和銀行(大阪市)との合併により誕生した旧UFJ銀行の本店を経て、現在は三菱東京UFJグループの名古屋営業部などが入る長い歴史の詰まったビルです。耐震補強は既に完了しているようですが、リニアの開業を控え、近年は名駅に押され気味の栄地区の活性化を図るため、2027年までに建替えることが決定しました。
改修工事中の「保存棟」
旧名古屋銀行本店(かつての東海銀行の前身)として1926年(昭和元年)に建設されたビルです。1989年に市の都市景観重要建築物に指定され、2009年までは三菱東京UFJ銀行が「貨幣資料館」として活用していました。改修工事により外観を極力保存しつつ耐震化と最新設備の導入を行います。改修後は全国の主要都市でレストランやリゾートホテルなどを手掛ける(株)Plan・Do・See(東京)が、保存棟の魅力を生かしたレストランやバンケットを運営するとしています。世代を越えて新旧2つのビルが共存する、名古屋ではあまり見られない再開発となりそうです。
◆着工前の記事はこちら。
【参考】名古屋の景観紹介 都市景観重要建築物等指定物件「旧名古屋銀行本店ビル」(名古屋市公式サイト) 同地点における広小路通りの電線地中化前の貴重な写真が掲載されています。
【参考】(仮称)錦二丁目計画着手(2016年3月3日 三菱地所プレスリリース)
※最後の写真のみ2017年1月29日、他2017年3月5日撮影。