中部国際空港のある”空港島”では、ボーイングの複合商業施設(2018年夏)や県主導の国際展示場計画(2019年秋完成)、LCC専用の新ターミナルビル(2019年度上半期)の建設に加え、2017年7月に滑走路の東側一帯が都市再生緊急整備地域に指定されるなど、2005年の開港以来、初めてと言っていいくらいに空港界隈の開発機運が高まっています。そしてこれに目を付けたホテル業界は、利用客の増加を狙いこぞって増床・進出計画を打ち出しており、本記事ではそのホテルの進出状況をまとめてみました。
既存ホテルの増床計画
出典 セントレアホテル新棟 プロジェクト状況(矢作建設工業公式サイト)
セントレアホテル新棟 イメージパース(右・2018年秋完成)
名鉄系列の「セントレアホテル」は、既存棟の隣に新棟を建設中。規模は地上11階建ての160室。既存の客室と同等のグレードとし、総客室数は381室となります。セントレアホテルの稼働率は、同じ系列の「名鉄グランドホテル」や全国に展開する「名鉄イン」の平均値と比べて低いものの、2015年度上期現在で85%と、少なくとも過去3年間では右肩上がりとなっています。
(仮称)東横イン 中部国際空港第二ビル(左手前・2017年12月完成)
東横インは、新たに13階建ての新棟を建設しています。既存の「オレンジサイド」「グリーンサイド」(計1,001室)と合わせると、総客室数はなんと2,288室にもなるそうです。ということは新棟の客室数は1,000室以上あることになります。空港島で最大規模のホテルとなるほか、全国の東横インの中でも圧倒的な規模を誇ります。ビジネスホテル・観光ホテルの違いはあれど、名古屋駅のマリオットアソシアホテルでも客室数は774室なので、いかに大規模かがわかります。
既存の「オレンジサイド」「グリーンサイド」(計1,001室)と比べると、建物の厚みが全然異なる。
セントレア初の外資系ホテル進出へ!
出典 積水ハウス・マリオットインターナショナル ニュースリリース(2017年3月22日)
フォーポイントバイシェラトン名古屋 中部国際空港(2018年11月完成)
高速船が乗り入れる船溜まりに面した、東横イン新棟の東側の敷地に建設中。運営はJRセントラルタワーズ内にある「名古屋マリオットアソシアホテル」と同じマリオットインターナショナルが行いますが、同社は「シェラトン」などのホテルブランドを展開するスターウッド・ホテル&リゾーツ・ワールドワイドを2015年に買収しているため、マリオットが展開する「フォーポイント」とスターウッドが展開する「シェラトン」の両方を採用した形となっています。
出典 積水ハウス・マリオットインターナショナル ニュースリリース(2017年3月22日)
規模は地上12階建ての319室。「フォーポイント」は世界20カ国で200以上展開されており、コンベンション施設やエクササイズ施設、地ビールを楽しめるバーラウンジ「ベスト・ブルー(Best Brews)」を併設するなど、インバウンドビジネスを見据えた施設内容となっています。
他にも外資系ホテルを誘致
国際展示場建設予定地
現在すでに工事が始まっている「国際展示場」の隣接地にも、外資系ホテルを誘致する計画があります。先述のフォーポイントシェラトンとは元々別の計画になっていますが、こちらのホテルに関してはまだ続報がありません。
進出を取りやめるホテルも
セントレアホテル新棟に隣接予定だったレッドプラネット
手前のタクシープール部分には、エアアジア系「レッド・プラネット」のホテル(約180室)が進出予定でしたが、計画は白紙撤回となりました。需要が無いからというよりは、建築資材の高騰や人出不足を背景に、ホテル建設の資金調達に苦戦したりと、いろいろと企業側の内部事情もあるようです。(先に着工していた名古屋の錦に建設中のホテルは、2017年10月に開業予定。)
※すべて2017年9月3日撮影。