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どうなる!?名古屋港に浮かぶ257haの夢の島「ポートアイランド」の活用法 名港管理組合が交通アクセス調査結果を公表!

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ポートアイランド写真

写真:建設グラフネットダイジェスト 地域の「ものづくり産業」を支える名古屋港より

国による浚渫土の埋め立て処分場として利用されてきた、名古屋港に浮かぶ通称「ポートアイランド」の将来的な活用計画を見据えた、島へのアクセス手段の基礎的な調査結果が公表されました。ポートアイランドは1975年の着工以来、現在に至るまで埋め立てが行われていますが、既に当初想定された土砂の処分容量を超えており、代替地に中部空港沖が候補地に浮上するなど、新たな処分場の建設も検討されています。そんな中、貿易港として大きな役割を担う名古屋港の重要な未利用地として、20~30年先を見据えた交流・産業拠点としての活用を想定し、経済界からの注目度が高まっています。

 今後活用する上での課題

 1. 島はどこのもの?

現在「ポートアイランド」はどの地方公共団体にも属さず、「陸」ではなく「海」扱いとなっており、都市計画上の位置付けも定まっていません。島の帰属のあり方や港湾計画などの改訂も含め、まず活用するには複数の行政手続きが必要とされています。

2. 仮置き土の撤去・地盤改良

ポートアイランド

 横井利明名古屋市会議員 オフィシャルブログより

名古屋港には、流入する庄内川などから常に大量の土砂が流れ込んでいます。港に土砂が堆積し続けると川底が上昇し、船舶が安全に航行できなくなってしまうため、定期的に土砂を取り除く工事(浚渫工)が必要になります。このポートアイランドは、そうして出た「浚渫土」を処分するための島です。既に島の処分容量は大幅に超えており、元々の埋め立て計画ラインを超えて積まれた土砂は、”仮置き”状態となっています。島を整地する場合、この「仮置き土」の撤去を行う必要があること、また水分を多く含んだ土壌のため大規模な地盤改良が必要であること、さらに南海トラフなど大規模地震による液状化対策などが必要になってきます。

 3. 既存航路や既存施設への干渉

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名古屋港における特定航法等より(海上保安庁公式サイト)

現在、島へのアクセスルートはなく、船で到達するしかありません。島の周囲は大型船舶の航路にもなっており、これらの航行へ支障を来さないレベルでのアクセスルートが必要になってきます。

ポートアイランドアクセス調査1

 ポートアイランド地区へのアクセス基礎調査より(名古屋港管理組合公式サイト)

 島の周辺には、航路のほかにも、大規模クレーンや地下埋設物、火力発電所などがあり、これらの施設に支障を来さぬよう、アクセスルートを設ける必要があります。

 基礎的な調査結果で示されたルート

ポートアイランドアクセス調査2

 ポートアイランド地区へのアクセス基礎調査より(名古屋港管理組合公式サイト)

 今回の調査結果の要となる、想定されるアクセスルートです。周辺の6つのふ頭を結ぶパターンが示されていますが、注目すべきは「道路」と「鉄道」の両面での調査が行われたことです。特に鉄道ルートは「金城ふ頭」「潮見ふ頭」と、西知多産業道路「長浦IC」付近の3つのルートが想定されています。金城ふ頭の場合はあおなみ線を延伸するのが自然と考えられますが、潮見ふ頭にも貨物線跡(名古屋臨海鉄道汐見町線)があり、これを旅客化した上で延伸することを想定していると思われます。長浦ICの場合、名鉄常滑線から枝分かれする路線の新設を想定したものと考えられます。

ポートアイランドアクセス調査4

ルートによって、橋梁のみ、トンネルのみ、もしくはその両方が提示されています。一番建設費用が膨らむとみられるのが、島から最も遠い「潮見ふ頭」ルート(トンネル延長8km)です。また、「金城ふ頭」ルートも海底トンネルでのアクセスが想定されており、こちらも建設費用が膨らむと思われます。いずれにしても、周辺自治体で費用を賄えるレベルの施設ではないため、仮にアクセスルートを実現させる場合は資金援助を国に働きかけることになります。

 「名古屋三河道路」構想

名古屋三河道路

 中部圏交通ネットワークビジョンの概要より(2016年4月 中経連公式サイト)

実はポートアイランドの道路アクセス構想は、既に20年以上前から存在しています。1994年に地域高規格道路(自動車専用道路)の候補路線として指定された「名古屋三河道路」の建設構想です。構想では、名古屋地域と三河地域(岡崎市付近)を結ぶとされており、地図上でもポートアイランド付近を経由するルートとなっています。

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 中部地方の主要道路事業(案)より(国交省公式サイト)

もう少し細かい地図で見てみると、「名古屋三河道路」は湾岸弥冨IC(伊勢湾岸道)付近から名古屋港を横断し、途中ポートアイランド付近を経由しながら半田市街を通過、最終的には岡崎市付近に至るルートとなっています。地図上にある同じ「調査中区間」扱いの道路では、他に「西知多道路」の事業化が決定しており、2027年度までの開通(事業費1,400億円)が予定されています。また、「名古屋瀬戸道路」の日進JCT~日進IC間も、事業化に向けた動きが活発化しています。

 長い目での検討が必要

ポートアイランドの活用法をめぐっては、カジノやアミューズメントパークの誘致、島周辺の希少生物の保全拠点、メガソーラーの設置など、経済界や関係団体からさまざまな意見が挙がっています。前述のとおり、活用に至るまでにはあらゆる課題が山積しています。ナゴヤドーム53個分という夢のような広さを持つ未開発地帯だけに期待は膨らみますが、島を活用することで、課題解決やアクセスルートの新設に巨額投資を行うだけの経済効果が得られるかどうかを、まずはしっかりと見極めていくことが必要だと思います。

【参考】ポートアイランド(1)(2012年8月10日 横井利明名古屋市会議員 オフィシャルブログ)

【参考】ポートアイランド(2)(2012年8月13日 横井利明名古屋市会議員 オフィシャルブログ)

【参考】建設グラフインターネットダイジェスト 地域の「ものづくり産業」を支える名古屋港(2015年8月号)

【参考】 中部圏交通ネットワークビジョンの概要(2016年4月 中経連公式サイト)

【参考】 中部地方の主要道路事業(案)(国交省公式サイト)

【参考】 西知多道路 (自動車専用道路) 事業化 2027年度開通予定(ABHP.net様

【参考】 名古屋港における特定航法等(海上保安庁 海の安全情報)

【参考】ポートアイランド地区へのアクセス基礎調査(2017年4月26日 名古屋港管理組合公式サイト)

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