南大津通り沿いに立地する、「日土地栄町ビル」の解体工事が始まりました。ビルの建て替え工事に伴う解体とのことですが、新ビルの規模等詳細は不明です。同ビルは1979年に竣工しており、地上8階建て、1~2階にはZARAが入居し、上層階はオフィスフロアとなっていました。ZARAの閉店案内によれば、2017年にリニューアルオープンするとのことで、新ビルにZARAが再出店する方針のようです。同ビルは2004年に改修工事が行われており、ZARAはその際に「名古屋第1号店」として出店しています。
南大津通りを挟んだすぐ向かいには、三越専門館の「ラシック」が立地しており、当地も商業フロアメインの再開発となることが予想されます。付近では現在も商業ビルの新築工事が活発化しており、先に開業した「ゼロゲート」や「nanairo栄」、「PARCO midi」など、ここ最近は名駅ばかりでなく、栄にも勢いを感じます。
解体期間や、「2017年のリニューアルオープン」との情報を加味すると、建替え後の新ビルは現ビルと同等の中規模ビルになると思われます。
ヨドバシカメラ 今度こそ
さて、つい先日頓挫したと思われたヨドバシカメラの名古屋進出が、思わぬ形で実現することになりました。
松坂屋本店の南館4、5階の全フロアと、6階の一部フロアに今年の11月に出店します。ヨドバシカメラの進出をめぐっては、当初出店予定だった「JRゲートタワー」の契約をめぐってJR東海との交渉が決裂し、ゲートタワーにはビックカメラが「名古屋駅西店」に続く2店舗目を出店することになっています。ゲートタワーに用意されていた店舗スペースが約16,000㎡なので、松坂屋への出店に変更されたことでフロア面積は半分の約8,000㎡に減ってしまいました。しかし、一部報道では「並行して複数の出店機会を探ってきており、名駅の取りやめと今回の出店決定とは関係がない」とされており、松坂屋とは2013年から交渉を続けていたようです。
一方、ビックカメラは大胆な出店攻勢に出ました。駅西店の店舗面積が約15,000㎡(ソフマップのフロアも含む)であることを考えると、仮にゲートタワー内のヨドバシ用のフロアをすべて使って出店することになれば、名駅両店を合わせて約31,000㎡に拡大することになります。これは2011年現在、国内最大の家電量販店である「ヨドバシカメラマルチメディア梅田」の専門店街を除いた店舗面積(約30,000㎡)とほぼ同等となります。最近は訪日外国人の急増で、名古屋の都心部でも昼間からあらゆる言語が飛び交うようになりました。特に「中国人の爆買い」に代表されるように家電系は中国人に人気が高く、ヨドバシの出店も名古屋近郊の住民だけでなく外国人観光客の取り込みも狙っているようです。中部空港なども含めた広域からの集客にはビックカメラが断然有利だと思いますが、ヨドバシはお得意のネット通販も駆使して手広く集客を目指します。
対JRタカシマヤ 松坂屋の猛攻撃
現在の松坂屋本店は3館一体でのリニューアル工事が進行しています。
第1期改装(2012年)では、南館2階に18~20代の女性をターゲットにした衣料品・雑貨フロア「ufufu girls」や、南館地下1階全スペースと1階の一部スペースに国内最大級の「H&M」が百貨店としては初めて出店。若年層向けの店舗づくり重点を置きました。
第2期改装(2013年)では、本館地下1、2階の食品フロアを「ごちそうパラダイス」として13年ぶりに全面リニューアル。ベーカリーやワインなどを扱う地下2階にパリの街並みを再現し、厨房を売り場外に集中させることで食品フロア全体の店舗数を128店舗から153店舗に拡大。5階にはオアシス21から「ポケモンセンターナゴヤ」が移転進出しています。
※大丸松坂屋百貨店プレスリリースより。ヨドバシカメラ開業時点でのフロア配置予想図。
現在南館5階にあるゴルフ・スポーツフロアを、今年の秋までに北館に移転させます。また、現在の南館4階は特設会場がメインとなっており、ここもヨドバシカメラのフロアとします。南館6階にある美術画廊は本館8階に移転、ビューティーフロアはそのまま残るようです。ヨドバシ進出を含む第3期改装は順次行われており、2016年春にグランドオープンする予定です。
名駅のJRタカシマヤへ対抗すべく、火花を散らす松坂屋と名古屋へ出店したいヨドバシが歩み寄った感じですが、個人的に気になるのは、三越北側に今も横たわる「遊休地」です。栄のド真ん中どころか、名古屋のド真ん中と言ってもいいくらいの一等地が、ぽっかりと穴が開いたようにかなりの年月塩漬け状態となっています。松坂屋も土地の一部を所有し、大丸と統合する前の2008年には当時の茶村社長が日経新聞のインタビューに、「新業態での開発も視野に2010年度をメドに計画を発表する」と話していました。
あれから7年。百貨店業界を取り巻く情勢は刻一刻と変化していますが、角地では様々な都市機能の誘致が想定されつつも、商業ベースで言えば今回の件をきっかけに「ヨドバシ」の再進出もあるのでは?…と思ってしまいました。しかし、ヨドバシの出店は自社ビル開発が主流である点や、隣接地では老舗の「トップカメラ」が細々と営業を続けており、そう簡単に想定される話ではありません。まずは南館の"大幅テコ入れ”で様子見と言ったところでしょうか。
おまけ
映画「ビリギャル」のロケ地にもなったプリンセス大通りのアーチ看板がリニューアル中です。支柱が薄いブルーから白に塗り替えられました。また看板を支えるアームも電車の架線柱のような直線的なものに取り換えられています。
【外部リンク】松坂屋名古屋店 2015年秋 ヨドバシカメラオープン(2015年6月9日 大丸松坂屋百貨店プレスリリース)
※写真は一部を除いて2015年6月13日撮影。