ちょっとアップが遅くなってしまいましたが、先月納屋橋界隈の堀川にて開催された「なやばし夜イチ」を覗いてきました。この日は2017年3月24日(金)16:00~21:00と、翌25日(土)13:00~21:00の2日間にわたって行われました。
「なやばし夜イチ」とは?
錦橋付近(堀川)
「なやばし夜イチ」とは、月に1度、納屋橋~錦橋間の堀川にて開催されているナイトマーケットです。2010年8月に日中と夕方の二部制で初めて開催された「夏イチ夜イチ」が前身で、あるときは日本酒やビールが楽しめ、またあるときはレトロ雑貨の販売や音楽ライブ、写真の展示会場、カフェが集結したりと、さまざまな形態で幅広い年齢層に親しまれているイベントとなっています。出店業者は物販、飲食、ワークショップを中心に事前に公式サイトにて募集しており、基本的な「なやばし夜イチ」のブース出展料は、飲食1,500円、物販・有料ワークショップ500円、そして展示・無料ワークショップは無料での出展が可能です。
以前初めて福岡市へ旅行した際に、中洲界隈の那珂川沿いを中心とした「屋台街」に行きましたが、散策途中に誰でもふらっと立ち寄れるオープンさと、屋台の中で皆で身を寄せ合いながらだしの染み込んだおでんを頬張り、ほろ酔い気分のまま近くの屋台へはしごできる点など、非常に魅力的に感じたのを覚えています。中洲の屋台とは形態は違えど、こういったイベントが名古屋でも開催されるようになったことは納屋橋界隈や堀川沿岸のまちづくりに旋風を巻き起こしつつあるのではと思います。
2017年の開催スケジュールも既に発表されていますので、詳しくは公式サイトにアクセス!
錦橋より堀川を望む
堀川両岸の遊歩道上に多数の屋台が出ており、非常に賑やかです。この日は「日本酒祭り」が開催されており、渥美半島など地元食材を使った料理や、ピッツァやタイ料理など多国籍フードも楽しめるようになっていました。
【外部リンク】なやばし夜イチ公式サイト この日の出店店舗が載っています。
錦橋より堀川を望む
現在の「なやばし夜イチ」開催エリアは、左奥に見える納屋橋付近まで(延長130mほど)となっていますが、特に納屋橋以南へも拡大できるポテンシャルは十分感じ取れます。
「なやばし夜イチ」をまちづくりのモデルに
納屋橋より堀川右岸を望む
納屋橋寄りの堀川沿いに立地するバーなどは遊歩道に向けて開かれた構造になっており、堀川の賑わい創出に大いに貢献しています。特に錦橋方面や納屋橋以南にかけては土地の高度利用を促し、老朽化したビルなどの建替えによりバーやレストラン・雑貨店などの誘致を積極的に行えば、名古屋を代表する観光地の1つになり得ると思います。ポイントは「川に開かれた」店舗誘致です。護岸改修工事による遊歩道化、「なやばし夜イチ」などイベントの定期化により、既にハード面・ソフト面でのベースが整っています。ベースが何もないままに魅力的な店舗誘致はなかなか難しいですが、この界隈ならポテンシャルがかなり高いと思います。建替えに合わせて遊歩道沿道の所々に屋台スペースを設けると面白いかもしれません。
納屋橋より堀川左岸を望む(旧加藤商会ビル前)
川を挟んで反対側の遊歩道です。奥の広場では、屋台のフードや酒をゆっくり楽しめるようになっています。「なやばし夜イチ」で定期的に演奏されているこの楽器は…
25日(土)の21時前の様子です。夜イチの終了時間が迫っていますが、賑わいが絶えません。「名古屋の夜は早い」のイメージを納屋橋からも覆したいですね。
再開発の終結も、ここからがまちづくりの本番!
納屋橋東地区再開発事業(テラッセ納屋橋)
1988年の基本計画作成から26年の歳月を経て、2017年6月に完成予定の納屋橋東地区「テラッセ納屋橋」です。オフィス・マンション・商業施設で構成され、3階建ての商業施設にはユニーが運営する都市型スーパー「ピアゴ ラ・フーズコア」が出店し、商業施設全体の名称は「〇〇ウォーク」となる予定です。
マンションは29階建てで、既に完売しています。当地の再開発をめぐっては、長い経済情勢を駆け抜けながら規模の縮小・拡大を繰り返し、現在の形に落ち着きましたが、マンションの売れ行きがとても好調だったため、規模を縮小しなくとも、もう少し戸数を設けてよかったのではないかという点と、過去のイメージ図にはあった手前の堀川護岸に繋がるデッキが実現せず、堀川と当地が車道で分断されている点が心残りです。
夜イチの日本酒祭りはチケット制
今回の「日本酒祭り」のように、「なやばし夜イチ」でお酒を楽しまれる場合は、事前に専用のおちょこ(300円)と5枚綴りのチケット(1300円)を購入する必要があります。チケット1枚につき、好きなお酒の屋台でおちょこ1杯の酒を注いでもらえます。「日本酒祭り」は年に数回開催されているため、2回目以降の参加は、会場へのおちょこ持参で、チケットのみの購入で済みます。紙コップなどを使わないため、ゴミを少なくする観点でも画期的な取り組みだと思いますが、初めての人には説明書きをもう少し細かく書いたほうがいいかもしれません。納屋橋西詰にあるこのチケット売り場のみ、今回より購入にmanacaが使えるようです。せっかく日本酒を飲むなら、おちょこの方が雰囲気が出ますよね。
納屋橋西詰
錦橋付近にもチケット売場がありますが、manacaが使える売場はこちらにあります。広小路通りと遊歩道との高低差と入り組み具合に、不自由ない都市計画道路とはまた違った街歩きの面白さがあります。
堀川右岸の遊歩道
ビルの壁面に描かれたイルカの絵も、この時間、ここから眺めるといつもとはまた違って見えるのも新たな発見です。
遊歩道は石畳になっており、欄干には装飾が施されています。傍らにはバーのオープンテラス。護岸の改修がようやく生きてきました。
散策時は、一足早く「四季桜」が咲き始めていました。
堀川左岸を望む
フードもさまざまな屋台が並んでいますが、この辺りには老朽化した事務所ビルなどが多く、遊歩道とはフェンスで隔離されています。もっと自由度の高い空間にすべく、課題も残ります。
納屋橋の北側と南側で明暗も
ほとりす納屋橋(手前の地上2階建て)
名古屋市が公募した納屋橋南側の堀川左岸における「納屋橋南地区市有地整備活用提案」競技に基づいて(株)ウッドフレンズが事業者となり、2009年に開業したリバーサイド施設です。開業当初は地産地消をテーマに、カフェやレストラン、ギャラリーなどが入っていましたが、既に開業時とはテナントが入れ替わっています。「ほとりす納屋橋」の公式SNSは2011年で更新が止まっており、サイトにもアクセスできない状態が続いています。運営期間は2024年まで(15年間)となっていますが、色々と試行錯誤が続けられているのでしょうか。運営状況がどうなっているのかよくわかりません。
堀川左岸(納屋橋南側)
こちらもオープンテラス状になっていますが、現在はあまり生かされていないような気がします。この日前を通ると、現在のほとりすは結婚式場っぽくなっている感じがしました。(違ったらごめんなさい)ほとりすの開業時期は「なやばし夜イチ」が誕生する前であり、隣接する納屋橋東地区の再開発もまだ着工していない中、西に堀川、北東に道路、南に船着き場という周囲から孤立した立地での厳しいスタートでしたが、結局リバーサイドの魅力を生かせず、テナントの中身でもカバーできませんでした。
堀川と納屋橋東地区を分断する道路(左は ほとりす納屋橋)
納屋橋東地区の再開発を機に、ほとりすへの波及効果を期待していましたが、当初予定と異なり、川沿いの道路で分断されているという状況は全く改善されず、孤立状態は変わりませんでした。なんだかそれぞれの再開発が連携することなくブツ切りで終わっている感じがします。
納屋橋南側
ほとりす納屋橋の対岸では、マンションも増える一方で、新たにオープンした店舗もあります。
カブトビールが70年ぶりに納屋橋に帰還!
カフェバー「TWILO」にて復活する「加富登麦酒名古屋支店」の表札
帰還という言葉が当てはまるかどうかはわかりませんが、半田赤レンガ建物にて明治~昭和初期に製造された「カブトビール」の名古屋支店が、1943年(昭和18年)までこの納屋橋の地にありました。半田赤レンガ建物はリニューアル工事を経て2015年より常時公開が始まりましたが、納屋橋界隈のイベントでもカブトビールの復刻版が2014年に限定販売されていました。今回、復刻版を楽しめる常設店としては納屋橋で初めての開業となります。
カフェバーの入口は堀川右岸の遊歩道側に設置され、オープンテラスも併設されています。「ビールを町おこしに」と目標を掲げる地元有志の方々の尽力により、新たなコミュニティを生み出しそうです。
堀川右岸(納屋橋南側)
沿道にはカフェやギャラリーなどが少しずつ集積しています。こらも”川に開かれた”空間が大きなポイントとなっています。
さらに南へ進むと、低・未利用地が多く残ります。夜イチの賑わいをここまで波及させたいところです。
その願いに向かって着実に堀川は変わり始めています。
堀川遊歩道の四季桜
まだ咲きはじめの頃。
【外部リンク】納屋橋TWILO・(株)高山額縁店 公式サイト
※すべて2017年3月25日撮影。