2018年3月7日付の建通新聞によると、名古屋市はリニア名古屋駅の準備工事が進む太閤通口の駅前広場について、バスターミナルの集約化・立体化(重層化)と、地下街・地下駐車場との乗り換え空間の基本的な整備イメージを2018年度に策定すると発表しました。名古屋駅の駅前広場整備をめぐっては、同駅のターミナル性の向上を目的とし、国交省・名古屋市・鉄道各社が共同で計画を進める歩行者滞留空間「ターミナルスクエア」を駅の東西(駅前広場の地上1階レベル)に複数箇所整備することで、各鉄道路線同士のスムーズな乗り換えを実現させる方針を示しています。今回はこれに加えて西側(太閤通口)のバスターミナルの再整備にまで踏み込んだ内容となっています。
MEMO
これまでに発表の計画
出典 名古屋駅ターミナル機能強化(乗換空間・駅前広場周辺・地下歩行者空間)の検討調査(名古屋市実施・国交省公式サイトより)
名古屋市の調査から「ターミナルスクエア」(後述)の想定整備箇所として示されている5か所のうち、4番・5番が太閤通口側に位置するものです。桜通口側でも一般車送迎スペースやタクシーのりばの再配置など、駅前広場の再整備が検討されていますが、桜通口側には既に完成した市バスターミナルがあり、今後名鉄の新ビル内にも高速バスターミナルの整備が見込まれるため、新たなバス乗降施設の整備予定はないようです。(名古屋駅ターミナル機能強化(乗換空間・駅前広場周辺・地下歩行者空間)の検討 調査結果の記述参照)
出典 名古屋駅周辺交通基盤整備方針(案)(名古屋市公式サイトより)
既に構想が発表されている「ターミナルスクエア」(鉄道路線間の乗り換え空間)に加え、今回新たにイメージ化される乗り換え空間は、立体化が予定されるバスターミナルと、地下街・地下駐車場・駅前広場との行き来をスムーズにさせるものとされています。 当然ながら、バス⇔鉄道間の乗り換えもスムーズである必要があるため、双方の空間が一体的に整備されることが予想されます。
JRハイウェイバスのりば(2010年12月~)
旧名古屋ターミナルビルの建替え(現:JRゲートタワーの建設)に伴い、2010年に桜通口から太閤通口へ移転してきました。ゲートタワーの完成後も、桜通口へ復帰することなく、当地に残り続けています。きっぷ売場の建物はプレハブとなっており、将来的な再整備か再移転を見込んだ構造となっています。
現在のバスターミナルは、平面構造のバスプールをJR東海バスが使用しています。しかし、他社の高速ツアーバスなどは周辺の道路沿いにのりばが分散しており、のりばの集約化による利便性の向上が課題となっていました。
新駅前広場の全体像は─
バスターミナルの再整備では、新ターミナルを重層化(立体化)することで、JR東海バス以外の高速バスが乗り入れできるよう、キャパを広げる計画です。地下には「エスカ地下街」や「エスカ駐車場」(地下駐車場)がありますが、新ターミナルと地下空間をどこでどのように接続させるのかが、今後の検討課題となります。立体化にあたっては、市が新しい駅前広場と合わせて「まちの顔」となるようなイメージを提示するとし、駅から周辺エリアへの連続性を損なわないようにデザインするとしています。
リニア名古屋駅の工事ヤード確保に伴い、現在のバスターミナルはバスプールが縮小されています。
従来のバスターミナルへの進入口も、工事ヤードとして活用されているため全面閉鎖中。代わりに南に新しい出入口が完成しています。
旧進入口から中を除くと、名古屋駅新幹線ホームの橋脚補修工事中。
旧エスカ駐車場北出口
エスカの地下駐車場も、工事ヤードの対象エリアとなった北入口と、写真の北出口が閉鎖されています。
このため、太閤通口ロータリー内の入口に交通が集中し、タクシーや一般送迎の車と入り混じって連日大変な混雑に…。工事終了までは致し方ないところか。
ヤード北側の搬入口?は工事が完了し、供用開始されています。
新幹線17番線ホームより
上から見た、現在の太閤通口バスターミナル(JR東海バス)です。元々の進入口や、平面駐車場などのあったところはリニアの工事ヤードとして活用されており、立ち入ることはできません。
元々あった排気口?らしきものも解体される気配。
工事ヤード南端付近に出来た構造物が、新しい排気口…?
JR東海による用地取得
ザ・グランドティアラ名古屋駅前
1982年開業の結婚式場ですが、JR東海が2016年に取得しました。リニア名古屋駅の建設予定地からはやや外れていることから、「権利交換」としての活用を目的に取得した可能性もあります。(実際にはまだ跡地の活用法は記事作成時点では判明していません。)敷地面積は約2,100平方メートルほど。
権利交換…再開発などで、解体した建物の土地に新しくマンションやテナントビルなどを建設し、その土地や解体した建物の所有者(※)に、取得した土地や建物の価値に見合う分だけ、新しいビルのフロア、もしくはその土地に関する新たな権利を与えること。(※ここでは、グランドティアラの土地・建物の元々の所有者、および周辺でリニア用地として取得した土地・建物の所有者)
JRの土地取得に関する現地の動き
駅前広場から西へ入ったところで、雑居ビル1階のヘルスが閉鎖。
その雑居ビルから路地をさらに西に入っていくと…
ここでも木造家屋の解体中。
ついでに隣接するコインパーキングも解体作業場として活用。
ちょうど屋根瓦などを剥がしているところでした。
そしてさらに木造家屋の先…
前回撮影時はまだ営業していたコインパーキングも閉鎖。
「JR東海 管理地」
駅前の表通りから、西へ延長線上に用地買収が進んできました。が、買収着手から早3年。あと9年後の開業までに間に合うのだろうか。…まだまだ先は長そうです。
※すべて2018年3月10日撮影。