四間道(しけみち)沿いに立地し、四間道の趣ある景観のひとつとなっている長屋の1室について、住民退去による一部取り壊しの危機に直面していましたが、景観を保全するため地元住民が中心となり、クラウドファンディングの活用による新たな貸アパートへのリノベーションが進められてきました。2017年12月11日より解体工事が始まりましたが、2018年2月17日をもって無事完成を迎えることができました。3回目は所用で参加できませんでしたが、2回目と今回完成した4回目の見学会の様子をお伝えします。
MEMO
第二回目の見学会
着工前と比べて内装が完全に取り払われ、土壁や梁が露出した状態。このときは梁などに湿気の匂いが着くのを防ぐための薬が散布されていました。
玄関。
2階は床も撤去され、全面吹き抜け状態に。柱や梁などはここまま活用します。
かなり古い家のため、所々基礎が侵食しています。
1階、左の廊下奥には台所やトイレなど水回りの設備があり、右側は手前から計4つの部屋がありました。
外壁は、コンクリートで増築されていた部分が撤去され、ベニヤ板で塞がれています。リノベーションでどのように生まれ変わったのか!?
第四回目の見学会(完成)
いよいよ最後の見学会となりました。
玄関の「たたき」は入口により近い場所になり、改修前は廊下だったスペースがリビングルームの一部に組み込まれています。
部屋は2階建ての3LDK。洗面所・浴室も新しくなりました。広さは全体で約80平方メートル、家賃は月10万円?だそうです。
四間道側の一室は畳の和室となっています。
リノベーションで唯一新しくなった窓。元々この場所にあった腰高窓は、より光の差し込む吐き出し窓になりました。
1階奥の寝室は内装全面に天然木が貼られ、リビングとデザインが一体化していますが、窓サッシや部屋の形はそのままに、改修前の雰囲気を最も色濃く残しています。
昔のままの梁の木目が美しく残る。
リノベーションにより、2階のフロア面積を少なくし、大半が吹き抜けとなりました。梁は黒く、壁は白く塗り直され、メリハリのある内装に。
一部の梁には襖の溝がそのまま残されています。
2階の角スペースは窓からの採光で明るく、デスクワークなどに活用できそう。
以前の2階は畳の部屋が二間続きでありましたが、吹き抜けで全体の解放感を演出するため、ロフトとして生まれ変わりました。
吹き抜けを見下ろす。
外観の変化
改修工事着工直前(2017年12月11日撮影・再掲載)
かつて1階玄関横にあった和室の増築部分(コンクリート外壁)。以前は格子付きの腰高窓でした。
改修工事完了後
窮屈だった玄関周りのスペースにゆとりが生まれました。景観に配慮し、新しく設置された掃き出し窓の外には引き続き格子が取り付けられました。玄関の引き戸のデザインと連続性を持たせています。
ほんのささやかではありますが、自分の支援させていただいた建物が美しく生まれ変わったのを見ると、とても嬉しい気持ちになります。
旧青木邸蔵 改修保存工事
旧青木邸 母屋改築工事
こちらも前回の基礎だけの状態から工事が進み、一気に存在感が出てきました。
MEMO
お約束、外壁デザインのモックアップ。
旧青木邸 土蔵保存工事
土蔵の外壁補修工事も終わりに近づき、新しい外壁が!
2棟続いた蔵のうち、手前の蔵は以前は黒い外壁でしたが、隣の蔵とデザインを合わせて真っ白い外壁に。
黄金色の雨どいがアクセントを利かせています。