東京・秋葉原にほど近いJR中央快速線(神田~御茶ノ水間)の高架は、1912(明治45)年に完成した赤レンガ造りの高架橋。そこに古くから眠り続けていた「旧万世橋駅」の遺構を活用した商業施設「mAAchi ecute(マーチエキュート)神田万世橋」が2013年9月に完成。普通のエキナカとは一風変わった、歴史に触れるミュージアムのような装いに惹かれ、今回初めて訪ねてみました。
Part.1とは反対側の神田川沿いへ
エキュートの整備にあたり、神田川に沿ってオープンデッキが設置されました。橋脚で仕切られた各区画ごとに店舗が出店しています。まだデッキの無かった頃は、隣り合う区画同士で中からの通り抜けが必要のため、当時から神田川側の橋脚がアーチ状にくり貫かれていたようです。(後述)
【参考】エキュート整備前の同地点の様子が紹介されています。(tamo23様 tamo23のゆるいページ)
デッキ上では、誰にも邪魔されない自由な時間が流れる。
日が暮れてくると、アッパーライトが橋脚を優しく照らしてくれる。
万世橋(中央通り)
この橋を渡ると、秋葉原の中心街に至る。石とコンクリートが混在したアーチ型の橋桁が特徴の現在の橋は、1930(昭和5)年に完成。
万世橋北詰より見た「マーチエキュート神田万世橋」。手前の欄干の丸み具合に歴史の重みを感じます。現在工事の行われている神田川側の高架上は留置線になっていますが、交通博物館時代は、ここにも車両が展示されていました。
橋脚の2箇所がアーチ状にくり貫かれているのがわかります。これによって、川沿いのデッキから回り込んで店内に入ることなく、隣り合う店舗同士の往来が自由にできるようになっています。
コンクリートで補強された橋脚に二つの穴が確認できます。店舗の中にいながらこのトンネルを潜る感覚は、ここでしか味わえないと思います。体感的には万世橋駅の遺構よりこちらのほうが面白いかもしれません。
こちらの店舗は神田川側と神田万世橋ビル側との行き来が可能になっていますが、昔ながらのグリーンの鉄製橋桁が、化粧直しされた上で店舗内部に姿を現しています。通常高架下の店舗といえば壁面はもちろん天井の内装も施されるところですが、ここでは鉄道高架を構成する素材の一つ一つを目で見て、一部は肌で触れることができます。店にいるというよりは博物館にいるような感覚です。
旧万世橋駅階段より。高架下がそのまま店舗になっています。雑貨や家具店・カフェなどが出店しているほか、イベントスペースでは物産展やギャラリーイベントが開催されています。中でも「LIBRARY」には中央線をモチーフにしたグッズや、万世橋駅の歴史を紹介する書籍、造り込まれたジオラマなどがあり、明治~大正時代にかけて交通の要衝として栄えた過去を後世に発信しています。
決して店舗面積は広くないですが、単なる”小洒落た”商業施設ではなく、ごく限られた空間の中に歴史の観点、建築の観点から面白い見所がたくさん詰まっている。
中央線高架と万世橋側の入口
入口を見上げると、神田川側の高架の一部が行き止まりになっているのがわかります。万世橋駅の現役時代にはここにも行き止まり式のホームが存在し、東京駅が開業するまでターミナル駅としての役目を果たしており、今でもその名残を伺うことができます。
DATA
mAAchi ecute(マーチエキュート)神田万世橋
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1丁目25番地4
JR秋葉原駅 電気街口より徒歩4分
TEL:03-3257-8910
営業時間
1912階段・1935階段・プラットホーム
月~土/11:00~22:00 日祝/11:00~20:30
オープンデッキ
月~土/11:00~22:30 日祝/11:00~20:30
ショップ
月~土/11:00~21:00 日祝/11:00~20:00
レストラン・カフェ
月~土/11:00~23:00(L.O. 22:30) 日祝/11:00~21:00(L.O. 20:30)
※ 一部ショップ除く
※すべて2016年10月8~9日撮影。